2009年度上期(2009年4月〜9月)の電機大手9社の決算が出そろった。
第2四半期の決算においては、8社が営業黒字を計上。第1四半期連結決算では8社が営業赤字であったことに比べると、回復の兆しが見られる内容となった。唯一赤字決算となったソニーも、7月公表値を上回る実績となったことから、通期業績見通しを上方修正。通期での営業損益は赤字のままとするものの、500億円増とした。
また、パナソニックでも、「前年同期に比べると大幅な減収減益だが、売り上げ、利益ともに修正公表値を上回った。第2四半期は3四半期ぶりの営業黒字となり、昨年度第4四半期をボトムに大きく回復した。これを受けて、年間業績見通しを上方修正する」(パナソニック社長の大坪文雄氏)とした。
このように、第2四半期業績は、各社とも回復基調にあるように見えるのだ。
だが、これが経済環境の回復を背景にしたものとは言い難い。むしろ、手放しで喜ばずに、慎重に見なくてはならない。というのも、予想を上回る実績となった要因として各社が異口同音に語るのは、構造改革効果によるものとしているからだ。
シャープでは、年間経費削減目標として2000億円を掲げているが、上期までで1191億円の経費削減を達成。すでに60%の進捗率となっている。また、NECでも固定費削減効果は1492億円となり、やはり進捗率は55%に到達。「通期の固定費削減目標として200億円を上乗せし、2900億円の固定費削減を目指す」(NEC社長の矢野薫氏)とする。
さらにパナソニックでも、年間2600億円の固定費削減目標に対して、実に80%にあたる2093億円の削減を上期で達成。損益分岐点を14%引き下げることができたという。損益分岐点の引き下げは、そのまま利益に直結する。パナソニックの場合、2008年度に比べて売上高が10%落ちても増益できる体質になったというわけだ。
一方、IT領域における動きはどうか。