富士通は10月28日、2010年3月期第2四半期(2009年7〜9月)の決算を発表した。売上高は前年同期比10.5%減の1兆1423億円、営業利益は同42.2%減の189億円、経常利益は同50.9%減の101億円となった。純利益は、前年同期の42億円から724億円へと大幅に改善した。
売上高は前年同期比10.5%減となっているが、実質増減率は15%の減収。実質増減率は、前年度まで持分法適用関連会社であった富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)およびFDKを連結子会社化した影響や、為替の影響を除いて計算したもの。
国内の減収は16.3%となった。ソリューションおよびSI事業で公共分野が堅調に推移したが、金融や製造、流通分野は企業の投資抑制の影響を受け減収となった。ロジックLSIや電子部品などは回復傾向にあるものの、前年同期比では大幅な減収となったほか、パソコン、サーバ関連も減収となった。
海外はほぼ前年同期並みだが、実質増減率は11%の減収。HDD、LSIや電子部品、パソコンが減収となったほか、サービス事業も欧米を中心に景気低迷の影響を受けた。
営業利益は189億円で、前年同期より138億円の減益となった。FTSの連結子会社化に伴うのれん等の償却負担増が約20億円、円高による影響が約40億円、前年度の年金資産の運用環境悪化による退職給付費用の増加が約50億円といった特殊要因によるものが大きい。こうした要因を除けば減益は小幅で、パソコンや欧州の民需系サービス事業を中心に景気低迷による影響はあったものの、ロジックLSIの減価償却費の負担減や開発の効率化などの効果により、371億円の損失を計上した第1四半期からは大幅に改善した。
経常利益は101億円で、前年同期比105億円の減益。営業外損益は32億円の改善となった。前年同期に欧州でパソコン、サーバの販売が低迷していたFTSを連結子会社化したことによる持分法損益の改善や、固定資産廃棄損の減少などによるものだ。
純利益は724億円。ファナックなどの株式売却益895億円を計上したことで繰延税金資産の回収可能額が増加、評価性引当金を取り崩したため税負担が軽減された。一方、ロジックLSIの製造体制の再編や間接業務の効率化などに伴う人員再配置にかかる費用211億円と、海外事業の構造改革費用30億円を事業構造改善費用として特別損失に計上した。
富士通は、「世界経済は持ち直しの動きが見られるものの、個人消費や設備投資の基調は引き続き弱く、景気低迷が長期化する」としている。このことから、海外事業におけるパソコンおよびサービスビジネスの売上減少などを織り込み、通期売上高の予想を前回発表していた4兆8200億円から4兆8000億円へと下方修正した。