「炎上」を恐れず顧客と向き合え--ソーシャルメディアは企業文化や事業さえも変革する

富永恭子(ロビンソン)

2010-02-19 23:25

 Twitterをはじめとするリアルタイムなソーシャルメディアがユーザー数を増加させている。個々のユーザーによって、情報は即座に発信され、興味を持たれた情報は多くのユーザーを介して瞬く間に伝播し、膨大なフォロワーを持った個人が発言力を高める時代になった。そして、これらソーシャルメディアの活用は、コンシューマーマーケティングの分野を中心として、すでに一部の企業に取り入れられ、その事例は増えつつある。

 ソーシャルメディアは、そのスピードや個人に対する働きかけの強さを考えれば、マスメディアによるマーケティングと比較しての「コストダウン」の要素も強い。また、今や企業より多くの情報を持ち始めた「顧客」や「企業の外」の人たちとのコミュニケーションは、ネットワークの向こうに存在する個々の知識を集約した「グローバルブレイン」の活用だということもできる。さらにソーシャルメディアとプログやウェブサイト、そして企業が持つソリューションやナレッジを組み合わせてコラボレーションを実現することも可能になった。

 この現象を単に「情報流通環境の変化」と考えるか、それとも「大きなムーブメント」として自分たちのビジネスに影響を及ぼすものと考えるかによって、今後のビジネスの方向性は大きく変わる。特にソーシャルメディアを通じてのグローバルブレインの活用についていえば、この考え方を理解でき、行動できるかどうかで、そのワークスタイルには雲泥の差が現れるといえるだろう。リアルタイムソーシャルメディアの活用は、企業のワークスタイルを変化させていくだろうという予想は、すでに現実味を帯びてきている。

 ソーシャルメディアを活用するためには、当然、膨大な情報の中から価値ある情報を取捨選択するセンスやスキル、技術が必要になる。さらに、メディアが形成しているコミュニティの中で、他のユーザーと「対話」する能力も必要となる。逆に、こうした能力が足りなければ、生産性や創造性が改善されないばかりか、すさまじいスピードで変化しているマーケットトレンドを把握できず競合から取り残されたり、最悪の場合には消費者の反感を買って、支持を失うことにもなりかねない。リアルタイムなソーシャルメディアが生み出す爆発的な情報のうねりの先には、こうしたリスクが潜んでいることも事実だ。

事例:「炎上」をTwitterで消火し自らを変えたComcast

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