米調査会社のForrester Researchが、ITインフラのアウトソーシングサービス事業者を調査した。同社が調査対象としたのは、1500万台のデスクトップサポートサービスや、10万台のサーバ管理、74万台のWANおよびLAN装置の管理など、大型案件を手がけているグローバル企業19社だ。
評価した内容は、過去3年間の経験値や顧客管理の方法、顧客満足度など、サービス内容全般はもちろん、価値ある提案ができるかどうか、競合に対する優位性を持っているか、1年後によりよいサービスが提供できそうか、研究開発は進んでいるかといった戦略面、そして、資金力や顧客ベース、従業員数などから市場認知度を判断し、評価基準に盛り込んだ。
Forrester Research シニアアナリストのPaul Roehrig氏同調査を担当したForrester Research シニアアナリストのPaul Roehrig氏は、「今回の調査で特に目立ったのはインドに拠点を置くアウトソーシング企業の成長だ」と話す。中でも、TCS、Infosys、HCL、Wiproなどのインド企業の評価が高く、「これらの企業は今回の調査で初めてリーダーポジションに入った」という。
インド企業が成長している理由についてRoehrig氏は、これらの企業が経験を積んで成熟しつつあること、顧客もインド企業の良さを認め、新たな契約に結びつくケースが増えていること、キャッシュフローに問題が起こらないよううまく管理していることなどを挙げる。
もちろん、古くからアウトソーシング市場でよく知られているAccentureやEDS、Capgemini、Hewlett-Packard、IBMなどもリーダーポジションに位置づけているが、「こうした企業はインドの企業に比べると利益率が低い」とRoehrig氏。インド企業は人件費が抑えられることに加え、伝統的な大企業の中にはハードウェアなどの在庫を抱えているケースが多いこともその理由のひとつだ。
今回高く評価されたEDSやAccentureだが、「こうした企業が今後も他社を寄せ付けない強さを保てるかどうかはわからない」とRoehrig氏は警告する。成長が顕著なインド企業は、キャッシュフローがあり、利益率も高いため、戦略的に投資するだけの余裕があるためだ。「伝統的企業がだめだといっているわけではない。しかし、こうした企業は今後より価値の高いサービスを提供すべく、柔軟性を持って動く必要があるだろう」としている。
Roehrig氏は、「この先数年もインド企業の成長は続く」と話す一方で、インド企業の課題も指摘する。それは「インドという国そのものの公共インフラに問題があるため、それが成長の障害になるかもしれない」という点だ。インドでは、電力が不安定で停電なども頻繁に起こるため、こうしたインフラをカバーするために余計なコストもかかっている。ただし、こうした面を考慮しても、インド企業の利益率は欧米の企業より高いとRoehrig氏は話す。
インド企業の成長が目立つこの市場だが、顧客はアウトソーシング企業を選ぶ際どのようにして選べば良いのだろうか。Roehrig氏は、「どの企業も質の良いサービスを提供できるという点に変わりはない。一番重要なのは、企業同士の相性だ」という。
「良いビジネス関係が保てそうかどうか、リスクをシェアして協力できそうか、企業カルチャーがマッチしているかといった点が重要になる」とRoehrig氏。こうした面からアウトソーシング企業を見ると、「日本では古くからこの地でビジネスを続けている日本IBMなどが強いのではないか」としている。
Roehrig氏によると、現在アウトソーシング市場の成長率は約5%〜8%程度。アウトソーシングは、経済状況と反比例して伸びるため、「もし不景気になればこれ以上の伸びを示すかもしれないが、今後数年はこの程度の伸びに落ち着くだろう」としている。特に、「金融業界やメーカーなどでアウトソーシングサービスを利用する企業が多い」とRoehrig氏。同氏は、「テクノロジ企業などはアウトソーシングに消極的な企業もあるが、テクノロジがコアビジネスでない企業であれば、アウトソーシングサービスでITを最大限に活用する方法を考えるべきだろう」と述べた。
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