「万川集海」と書いて「ばんせんしゅうかい」と読みます。読んで字の如く、小さな技術解説を小川のように結集し、最後には知識の海にまで大きくしたいという気持ちがこもっています。
万川集海という言葉の由来は、元々本のタイトルから拝借しています。その本とは、江戸時代に書かれた忍術書です。本の内容についてはウェブなどで検索していただければ解説されたページがたくさんあるので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。
私も若いころ、興味本位でこの本の現代語訳版を読んだことがあります。この忍術書は口伝ありと記載された部分も多く、読んでいて少し歯がゆい思いを感じたものですが、書の冒頭にこの本を読んでも本物の忍者にはなれない旨がしっかり記されています。それでは本を書く意味がないのではないかと疑念を抱く方がおられるかもしれませんが、それは違います。本当の奥義は修行と経験を積み、師匠から指導を仰いで初めて大成するものなのですが、修行をしていると色々な壁に突き当たるものです。この本はそういう時に役に立つヒントが隠されており、ヒントだと理解できないと人には残念ながら無益な書になってしまうものなのです。
それでも簡単な忍術の心得は書いていますので、全く役に立たないわけではありません。このコラムも、これを読んだだけではスキルの高い専門家にはなれないのですが、技術力を磨くきっかけやお客様に説明するときのヒントにはなると思います。このような筆者陣の志を一言で表現するために、このタイトルをコラムの名前として拝借致しました。
コラム開始にあたり
ディスク装置というものが世に生まれてから、2006年9月4日で50年目となりました。半世紀という節目を迎え、より広い層の皆様にストレージやその関連技術を知っていただこうと考えたのがコラム執筆のきっかけです。執筆者は、日本IBM社内に隠せいしているその道のプロで、ストレージ技術の先進性と面白さを伝達したいという志を持った人たちばかりです。
このコラムは、日頃それほどストレージに興味をもたれていない方や、コンピュータの専門家以外の方でも面白いと感じて頂けるものを目指したつもりです。もちろん、普通の方に読んでいただくには少々専門的すぎるかもしれませんが、そういう方に少しでもストレージ技術の面白さ知っていただき、心の片隅にでも知識として記憶していただければ幸いだと考えています。逆に、技術解説書ではありませんので、スキルのある方々が読まれた場合、少々物足りないと感じられるかもしれません。その場合は読み物としてサラッと読み捨てて頂ければ、それなりに表現しようとした技術の面白さは伝わるのではないかと考えました。
執筆陣は、日本IBM社内で製品開発に関わっている人から、テクニカルサポート担当者、ストレージソリューションや販売、システム構築担当者までさまざまです。最近では技術者の顔が見えないという声も耳にしますが、この機会にほんの一部でもストレージ技術に秀でたIBM社員の顔を知っていただき、何かを感じていただければ嬉しい限りです。
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