パブリッククラウドコンピューティング(さらに言えば、あらゆるインターネットサービス)の採用を決めた個人や企業が直面する最大の問題の1つは、オンラインに保存されたデータについての法的権利があまり明確でないことだ。筆者はこの黎明期における法的状況について何度か取り上げてきた。例えば、インターネット上に保存された電子メールに対するプライバシー保護の要求を緩和する決定や、コロケーション施設の所有者に詐欺の嫌疑がかけられたときに、米連邦捜査局(FBI)がその施設内にある何十社もの企業のサーバを没収することを許可した決定だ。
しかし、筆者は以前、米政府はネットワーク化されたアプリケーションとデータで溢れる現代社会に対して、まだ適切な比喩を考え出せていないと主張したものの、実際にこの問題を詳細に分析した文献はほとんどない。さらに悪いことに、不当な捜索と押収を防止する米国憲法修正第4条が、インターネット上に保存されたデータにどう適用されるのかを分析したものは、ほとんど見たことがない(編集部注:米国憲法修正第4条とは米国憲法のうち、Bill of Rights(権利章典)と呼ばれる個人の権利保障を定めた10の条項の中の1つ。不合理な捜索および押収に対し、身体、家屋、書類および所持品の安全が保障されるという人民の権利をうたっている)。
だが、うれしいことに、Minnesota Law Reviewの2009年6月号の中で「クラウドの本質を解明:クラウドコンピューティングにおいて高まるプライバシー保護への期待に修正第4条の原則を適用(Defogging the Cloud: Applying Fourth Amendment Principles to Evolving Privacy Expectations in Cloud Computing)」(PDF)という極めて秀逸な論文を見つけた。この論文は、当時ミネソタ大学ロースクールの学生だったDavid A. Couillard氏が書いたものだ。インターネットコンピューティングへの修正第4条の適用について、現状を簡潔にではあるが周到にまとめている。Couillard氏は、クラウドベースのデータに関する案件に、修正第4条をどう適用するかを評価する上で、極めて論理的な枠組みを提示して、この論文を締めくくっている。
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