クラウドコンピューティングとプライバシー--オンラインデータの法的権利を考える - (page 2)

文:James Urquhart(Special to CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル

2010-06-29 12:00

 Couillard氏によれば、事態はあまり進展していないという。

 裁判所はそれ以来、「プライバシーに対する合理的な期待」という標題の下で、さまざまな状況において修正第4条の適用範囲を定義してきた。しかし、法律を上回る速度で技術は進歩し、社会の期待は高まっている。法的な枠組みは存在するが、これらの法律は時代遅れだと主張する人もいる。一方、最高裁判所は、利用が拡大しているクラウドコンピューティングプラットフォームはおろか、電子メールへの修正第4条の適用にさえ取り組んでいない。したがって、修正第4条には、技術の進歩に取り残されないよう、もっと素早く現状に適応できる枠組みが必要である。

 筆者は2008年に執筆した「クラウドコンピューティングの権利章典(Cloud Computing Bill of Rights)」の中で、本質的に同じことを述べている。

 政府は、オンラインクラウド経済に対する十分な信頼を築くために、企業と個人のプライバシー、そして全体的なデータセキュリティを尊重する法的枠組みの策定に取り組むべきだ。確かに国家の安全は重要だが、直接的にせよ間接的にせよ、クラウドの顧客とベンダーが法域内で安全にビジネスを行えないのではないかという不信感を抱く環境を作ってしまわないよう、政府は慎重に行動しなければならない。

 Couillard氏はまず、電話通信に関する判例がクラウドにどう適用されるのか、あるいは適用されないのかについて分析している。同氏は、そうした法律はすべて「プライバシーに対する合理的な期待」テストの下で評価されると指摘している。

 プライバシーに対する合理的な期待のテストは、Katz対米国政府事件(Katz v. United States)がきっかけで発案された。この事件では、Harlan判事がプライバシー保護に同意し、「(1)当該人物が対象物について、プライバシーに対する主観的な期待を示していること」「(2)その期待が合理的なものであること」という2項目の要件を提示した。このテストは、有形物と無形物の両方に適用可能だ。しかし、有形物かどうかにかかわらず、捜索対象物を自主的に第三者へ渡した場合、最高裁判所は、当該人物はその対象物について、プライバシーに対する合理的な期待を抱けなくなるとの判決を下してきた。

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