ターボリナックスという会社名を聞いて、まずイメージするのは「Linuxディストリビューションの会社」ということではないだろうか……。
今でも、デスクトップ環境およびサーバ環境のためのLinuxオペレーティングシステム(OS)「Turbolinux」シリーズを提供しているということに変わりはない。しかし、基本的にはターボリナックスという会社の事業は、もはやOSそのものではなく、その上で稼働するサービスがビジネスの中心となっている。
「おそらく以前のターボリナックスを知っている人からは、今は少し違った会社のようなイメージに思えるかもしれません」と話すのは、同社の代表取締役社長兼CEOである矢野広一氏だ。
現在、ターボリナックスのサーバ関連ビジネスとデスクトップ関連ビジネスは、サーバ関連が70%に対し、デスクトップ関連が30%の割合。サーバ側はサポート/サービスの売り上げが多くを占めるが、デスクトップ側はほとんどがライセンス料となっている。
「2007年はwizpyの販売を開始したので、デスクトップ関連のビジネスが少し拡大すると思っています。これまでデスクトップ関連ビジネスは、ソースネクストから1980円シリーズとして販売されているTurbolinux Personalなどがビジネスの中心でしたが、今後は3万3800円のwizpyが中心になるからです」(矢野氏)
テキストと音声に対応できるのは我々とMSだけ
ターボリナックスのサーバ関連ビジネスの中核は、「InfiniTalk」と呼ばれるIPテレフォニーソリューションであり、それを中心に実現されるコールセンターソリューション(CTI)だ。
また、「Turbolinux Appliance Server」と呼ばれるオールインワンのアプライアンスサーバ製品により、ウェブサーバやメールサーバ、セキュリティなどを統合したソリューションインフラもエンタープライズ分野に提供している。
「ひと言にエンタープライズの世界といってもいろいろな分野があります。たとえば、OracleやSAPで実現されるエンタープライズアプリケーションの分野には、我々はフォーカスしていません。また、OS単体でのビジネスも考えていません。OSとソリューションをセットにした分野、しかもスケールアウトで効果を実感できる分野にフォーカスしています」と矢野氏。
同社が、IPテレフォニーの分野に注目したのは、Linux OS以外の付加価値を提供したいと考えたからだ。
矢野氏は、「テキストデータと音声データをハンドリングできる会社にしたいというのが、すべての始まりでした。ビジネスで使用されるデータには、大きくテキストデータと音声データの2種類があります。どちらも同じくらいのボリュームがあり、これをハンドリングする仕組みが必要だと考えました」と話す。
テキストデータを処理するプラットフォームとソリューションとしては、すでにTurbolinux Appliance Serverを提供していた。そこで、音声データをカバーできるソリューションが必要であり、開発されたのがInfiniTalkだった。
「プラットフォームベンダーとして、テキストデータと音声データの両方を管理できるOSからプラットフォーム、そしてアプリケーションまでを提供しているのは、これまでMicrosoft(MS)しかありませんでした。現在では、Microsoftとターボリナックスの2社といえるでしょう」(矢野氏)
InfiniTalkはまた、2006年12月にNTTの「ひかり電話ビジネスタイプ」の正式な対応を発表している。矢野氏は、「NTTのひかり電話ビジネスタイプに正式対応したオープンソースソフトウェア(OSS)対応のCTI製品は、現状ではInfiniTalkだけ」であることも強調した。