Linuxはコアコンピタンスだがそれを切り売りする時代ではない--ターボリナックス

山下竜大(編集部)

2007-04-23 13:34

 ターボリナックスという会社名を聞いて、まずイメージするのは「Linuxディストリビューションの会社」ということではないだろうか……。

 今でも、デスクトップ環境およびサーバ環境のためのLinuxオペレーティングシステム(OS)「Turbolinux」シリーズを提供しているということに変わりはない。しかし、基本的にはターボリナックスという会社の事業は、もはやOSそのものではなく、その上で稼働するサービスがビジネスの中心となっている。

 「おそらく以前のターボリナックスを知っている人からは、今は少し違った会社のようなイメージに思えるかもしれません」と話すのは、同社の代表取締役社長兼CEOである矢野広一氏だ。

 現在、ターボリナックスのサーバ関連ビジネスとデスクトップ関連ビジネスは、サーバ関連が70%に対し、デスクトップ関連が30%の割合。サーバ側はサポート/サービスの売り上げが多くを占めるが、デスクトップ側はほとんどがライセンス料となっている。

 「2007年はwizpyの販売を開始したので、デスクトップ関連のビジネスが少し拡大すると思っています。これまでデスクトップ関連ビジネスは、ソースネクストから1980円シリーズとして販売されているTurbolinux Personalなどがビジネスの中心でしたが、今後は3万3800円のwizpyが中心になるからです」(矢野氏)

テキストと音声に対応できるのは我々とMSだけ

 ターボリナックスのサーバ関連ビジネスの中核は、「InfiniTalk」と呼ばれるIPテレフォニーソリューションであり、それを中心に実現されるコールセンターソリューション(CTI)だ。

 また、「Turbolinux Appliance Server」と呼ばれるオールインワンのアプライアンスサーバ製品により、ウェブサーバやメールサーバ、セキュリティなどを統合したソリューションインフラもエンタープライズ分野に提供している。

 「ひと言にエンタープライズの世界といってもいろいろな分野があります。たとえば、OracleやSAPで実現されるエンタープライズアプリケーションの分野には、我々はフォーカスしていません。また、OS単体でのビジネスも考えていません。OSとソリューションをセットにした分野、しかもスケールアウトで効果を実感できる分野にフォーカスしています」と矢野氏。

 同社が、IPテレフォニーの分野に注目したのは、Linux OS以外の付加価値を提供したいと考えたからだ。

 矢野氏は、「テキストデータと音声データをハンドリングできる会社にしたいというのが、すべての始まりでした。ビジネスで使用されるデータには、大きくテキストデータと音声データの2種類があります。どちらも同じくらいのボリュームがあり、これをハンドリングする仕組みが必要だと考えました」と話す。

 テキストデータを処理するプラットフォームとソリューションとしては、すでにTurbolinux Appliance Serverを提供していた。そこで、音声データをカバーできるソリューションが必要であり、開発されたのがInfiniTalkだった。

 「プラットフォームベンダーとして、テキストデータと音声データの両方を管理できるOSからプラットフォーム、そしてアプリケーションまでを提供しているのは、これまでMicrosoft(MS)しかありませんでした。現在では、Microsoftとターボリナックスの2社といえるでしょう」(矢野氏)

 InfiniTalkはまた、2006年12月にNTTの「ひかり電話ビジネスタイプ」の正式な対応を発表している。矢野氏は、「NTTのひかり電話ビジネスタイプに正式対応したオープンソースソフトウェア(OSS)対応のCTI製品は、現状ではInfiniTalkだけ」であることも強調した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Google Chrome Enterprise が実現するゼロトラスト セキュリティの最新実情

  2. セキュリティ

    ブラウザの可能性を Google Chrome Enterprise で追究、セキュリティ実現には?

  3. ビジネスアプリケーション

    NTTグループが17万ユーザーの決裁システムを抜本的に改革、プロジェクトの鍵を握るサービスとは

  4. ビジネスアプリケーション

    データリーダーが知っておくべき、AI活用の投資対効果を高める「実効性のある戦略策定」の進め方

  5. モバイル

    目前の「Windows 10」サポート終了、「Windows 11」への移行負担を解消する最適解とは

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]