金のあるところに行け。企業向けソフトウェア業界の大企業はまさにこの言葉を実践したようだ。同業界の著名企業は、時に大規模な買収を行いながらビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェア市場に参入した。
2007年の企業向けソフトウェア業界は大規模な買収が相次いだ。まず、2月にOracleがHyperion Solutionsを33億ドルで買収すると発表した。また10月にはSAPが、Business Objectsを68億ドルで買収する計画を発表した。さらに11月には、IBMがCognosを50億ドルで買収する意向を明らかにした。
調査会社Forrester Researchによると、ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェア(ビジネスパフォーマンスソリューション)市場は、2010年までに11%成長する見込みだという。
また、2007年は企業向けソフトウェア企業がオンデマンドに関するさまざまな取り組みを行った年でもあった。例えば、SAPは以前から予想されていたオンデマンドサービス「Business ByDesign」を発表した。
その他の例としては、NetSuiteが新規株式公開(IPO)を申請し、さらにパイオニア的存在であるSalesforce.comは、自らをオンデマンドアプリケーションのためのプラットフォームと位置づけた。
Googleは、フランスのCapgeminiとの提携を通じて、GoogleAppsの対象を小規模企業から米国のビジネス界全体に拡大した。
また、企業向けソフトウェア業界の発展に伴い、企業幹部の交代劇も見られた。
SAPの製品、技術グループ担当プレジデントで、次期最高経営責任者(CEO)の有力候補と目されていたShai Agassi氏が3月に退社した。Agassi氏は、現CEOのHenning Kagermann氏が契約期間を延長した後にSAPを退社し、現在は電気自動車関連の会社を設立しようとしている。
11月には、Adobe SystemsのCEOであるBruce Chizen氏が辞任を発表。同氏は過去7年間、同社のCEOを務めてきた。しかし、Chizen氏は2008年末まで戦略顧問として同社に留まる予定だ。
2007年は、企業向けソフトウェア企業にもそれなりのドラマがあった。中でも注目すべきはOracle関連の2件だ。
Oracleは2007年に入って、同社最大のライバルであるSAPとSAPの完全所有子会社のTomorrowNowを提訴した。訴状によると、サードパーティーサポートおよびメンテナンス企業のTomorrowNowは、Oracleの前の顧客の契約が認めている範囲を超えて、Oracleのプロプライエタリソフトウェアコードを盗んだという。3社は2008年はじめに判事とのステータスヒアリングに臨む予定だ。しかし、一方で、SAPはTomorrowNowの事業の売却を検討している。
そして、もう1つ件として、Oracleは10月、ミドルウェアのライバル企業BEA Systemsに買収を提案した。Oracleが提示した条件は、1株当たり17ドルつまり67億ドルを現金で支払うというものだった。しかし、BEAは、交渉を開始するにあたり1株当たり21ドルを要求した。そのため、Oracleは取引から手を引いたが、投資家らは同社がまた戻ってくると考えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ