Oracleは米国時間3月1日、Hyperion Solutionsを33億ドルで買収することに合意したと発表した。同社はこれにより、パフォーマンスマネジメントシステム分野の製品を拡充する意向だ。
Oracleはここのところ、企業買収によってスピーディに事業の拡大を図ろうとしている。同社はここ何年かの間に大型の企業買収をいくつか行ってきたが、これもそのうちの1つとなる。同社は2006年に顧客関係管理(CRM)ソフトウェアメーカーのSiebel Systemsを58億5000万ドルで、PeopleSoftを2005年に103億ドルで買収している。
Oracleの幹部らはアナリスト向けに開催したカンファレンスで、PeopleSoftとSiebelの製品は、Oracleの既存のものと重複していたが、Hyperionの製品はOracleの既存事業とさほど重ならないと述べる。
Hyperionは企業にビジネスインテリジェンス(BI)ツールや財務アプリケーションを提供している。Hyperionのソフトウェアは、販売履歴などのデータを分析し、予算を管理したり、プランニングしたりするのに用いられる。
またHyperionは、事業のパフォーマンスを複数の指標に基づいて分析し、視覚的にレポーティングする「ダッシュボード」機能を提供するアプリケーションも扱っている。企業はこれを利用することにより、顧客への応答時間を短縮したり、販売目標を達成したりするのに利用できる。
Oracle自身もBIツールを提供しているが、業界観測筋は、BIツールを専門的に取り扱っている企業の大型買収に乗り出し、製品ラインを拡充するだろうと予測していた。
Oralceの最高経営責任者(CEO)Larry Ellison氏は声明で「Hyperionの買収により、Oracleは成長の著しいエンタープライズパフォーマンスマネジメント(EPM)の分野におけるリーダーになる」と述べている。
OracleはHyperionのEPMソフトウェアを自社のBIツールや分析アプリケーションと組み合わせ、プランニング、予算管理、業務統合、業務分析、コンプライアンスレポーティングを含むEPMシステムを構築する意向だ。
OracleはHyperionを1株あたり52ドルで買収し、手続きは4月に完了する予定。Oracleは買収の成果として、非GAAPベースの1株あたり利益が、会計年度2008年には少なくとも1セント、会計年度2009年には4セント上昇するとしている。
Oracleは本買収で、エンタープライズリソースプランニング(ERP)分野における最大手のソフトウェア企業であり、ライバルでもあるSAPに照準を合わせている。
OracleのプレジデントCharles Phillips氏は声明で「SAPの顧客の多くが、財務の統合や分析、レポーティングでHyperion製品を利用している。われわれはHyperionのソフトウェアを通して、SAPの最重要顧客がERPのデータをどう見て分析するかを知ることになる」と述べる。