海外コメンタリー

「Windows 11 24H2」の一般提供が開始--新機能、入手方法、サポート期間などを解説

Ed Bott (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2024-10-05 07:00

 サプライズはなし――。それが最近のMicrosoftの合言葉である。同社は、ユーザーが「Windows」の最新バージョンを最小限の手間でインストールできるようにするために、全力を尽くしている。米国時間10月1日に正式にリリースされた最新のアップグレードは、間違いなくその条件を満たしている。

 このリリースにサプライズは一切ないはずだ。何カ月も前からパブリックプレビューが実施されており、「Windows Copilot+ PC」を購入した人なら誰でも、ほかの一般ユーザーよりも先にこの新しいバージョンに自動的にアクセスすることができた。

 それでも、今後数週間から数カ月のうちにこの新しいアップグレードに初めて触れる「Windows 11」ユーザーは、数億人に上るだろう。この最新リリースは、どんなものなのだろうか。本記事では、「Windows 11 24H2」を実際に使用した筆者が読者のさまざまな疑問にお答えする。

Windows 11 24H2とはどんなものなのか

 公式には、Microsoftはこのリリースを「Windows 11 2024 更新プログラム」と呼んでいる。これは、Windows 11の最初のバージョンに対する3回目のメジャーアップグレードであり、前回のメジャーアップグレードと同じスケジュールを踏襲している。つまり、暦年の後半に一般提供(GA)チャネルにリリースされる年次アップデートだ。

 このリリースは、過去のメジャーアップグレードである「Windows 11 23H2」および「Windows 11 22H2」と同じ命名規則に従って、Windows 11 24H2と呼ばれている。

 バージョン24H2は、「Windows Insider Program」のメンバーによって、4カ月以上前から「Release Preview」チャネルで検証されている。もちろん、それによって、リリースにバグが存在しないことが保証されるわけではないが、迷惑なバグに遭遇する可能性はあっても、致命的なバグに遭遇することはないだろうという一定の安心感を得られる。

 この最初のリリースのビルド番号は「26100.1876」だ。

何が含まれているのか

 Windows 11を使用している大多数の人は、このアップグレードの変更点について、比較的小規模だという印象を受けるはずだ(「Surface Pro 11」などのWindows Copilot+ PCを所有している人は、筆者が以下の記事で紹介したいくつかのAI関連機能にアクセスできる)。

 Microsoftによると、このリリースには、多くの内部的な改善が含まれているという。同社はそれらの改善について、「革新的なAI体験と優れたパフォーマンスを提供するのに必要な新しい基本要素」と宣伝している。とはいえ、目に見える変更点もいくつかある。

  • HDR背景のサポート:HDRをサポートするディスプレイで、高解像度のJPEG(JXR)ファイルをデスクトップの背景として使用できるようになった
  • 省電力:この機能を使用すると、通常バックグラウンドで実行される一部のアクティビティーを制限することで、電力消費を削減し、バッテリー持続時間を延ばすことができる
  • Sudo for Windows:「Linux」が好きな人はこのオプションをご存じのはずだ。「設定」>「システム」>「開発者向け」の順に進んで、「Sudo for Windows」を使用すると、標準ユーザーとして開いたターミナルセッションから管理者としてコマンドを実行できる<
  • Wi-Fi 7のサポート:これは、「数年後に必要になるもの」という項目に分類してほしい。数年後には、最新のWi-Fi規格であるWi-Fi 7がより多くのハードウェアやネットワークプロバイダーによってサポートされる見通しだからだ。とはいえ、Wi-Fi 7をサポートするPCやルーター、インターネットプロバイダーをすでに利用している人は、この新機能をすぐに活用できる
  • 音声明瞭化処理:このオーディオ処理機能は、AIを使用してバックグラウンドノイズを除去し、ビデオ通話で音声がより明瞭に聞こえるようにする。これまでは、専用のハードウェアを搭載したデバイスでのみ利用可能だった

 さらに、「Windows」の至る所に、ユーザビリティーを向上させる細かい改善が多数施されている。例えば、タスクバーで「クイック設定」フライアウトをクリックして、そこに含まれるさまざまな設定をスクロールできるようになった。聴覚補助デバイスを含む「Bluetooth Low Energy Audio」デバイスの接続も大幅に改善された。また、「ファイルエクスプローラー」では、ショートカットメニューの「切り取り」や「コピー」「貼り付け」「共有」のアイコンにラベルが表示されるようになった。

 ただし、タスクバーを縦向きにする機能など、多くのユーザーが要望していたほかの改善点は、まだ実装されていない。

インストールにはどれくらいの時間がかかるのか

 この1年間にバージョン23H2にアップグレードした人は、数分で完了する超高速アップデートを当然のことと受け止めるようになっているかもしれない。アップグレードの所要時間が短縮されたのは、Wバージョン23H2がバージョン22H2と同じコアOSファイルを使用しており、Microsoftが「有効化パッケージ」と呼ぶ仕組みを通してアップグレードすることができたからだ。

 バージョン24H2では、1時間以上待つことを覚悟してほしい(低速のハードウェアだと、もっと時間がかかる可能性もある)。このアップグレードは完全な旧式のOSスワップであるからだ。さらに、バージョン22H2やバージョン23H2を実行しているデバイスでは、2024年5月の非セキュリティプレビュー更新プログラムがインストールされていることを確認する必要がある。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Google Chrome Enterprise が実現するゼロトラスト セキュリティの最新実情

  2. ビジネスアプリケーション

    ITSMに取り組むすべての人へ、概要からツールによる実践まで解説、「ITSMクイックスタートガイド」

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. セキュリティ

    あなたの会社は大丈夫?--サイバー攻撃対策として必要な情報セキュリティの早分かりガイドブック

  5. セキュリティ

    いまさら聞けないPPAPの問題点、「脱PPAP」を実現する3つの手法と注目の"第4のアプローチ"とは

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]