ナレッジマネジメントを実践するためには、システムを整備するだけでは不十分だ。社員に価値が高い情報を入力させるとともに、それらを活用させる必要がある。その実現に向け、現在注目を集めているのが、Web2.0時代の新たなナレッジマネジメントであるKnowledge Management2.0(KM2.0)という考え方だ。テックバイザージェイピーで代表取締役を務める栗原潔氏はKM2.0のメリットと、具体的な実践手法について語った。
ナレッジマネジメントの徹底に向けた
ハードルをKM2.0で乗り越える

テックバイザージェイピー
代表取締役
栗原 潔氏
「ナレッジマネジメントに取り組む企業は多いものの、そのほとんどで取り組みを徹底することができていない。この課題を解決する切り札と言えるのがKnowledge Management 2.0(KM2.0)、すなわちWeb2.0時代の新たなナレッジマネジメントにほかならない」
テックバイザージェイピーで代表取締役を務める栗原潔氏は、企業におけるナレッジマネジメントの現状を踏まえ、講演の冒頭でこのように強調した。
“情報活用を通じた競争力の強化”が企業経営におけるテーマの1つに位置づけられる中で、ナレッジマネジメントの重要性はさらなる高まりを見せている。実際に、今後のIT投資における重要分野について日本企業に聞いたリサーチ会社ITRの調査によると、約34%の企業が「情報・ナレッジの共有・再利用環境の整備」の重要性が高いと回答。EA(Enterprise Architecture)やBPO(Business Process Outsourcing)が重要だとの回答がそれぞれ約10%、9%にとどまっていることからも、改めてナレッジマネジメントに注目が集まっていることは明らかと言えよう。
だが、真の意味でナレッジマネジメントを実践できている企業は、まだそれほど多くはない。その理由の1つが、情報の入力作業の煩雑さを理由に、システムを整備しても利用を活性化することが困難というもの。また、システムへの情報入力までは行えるようになったものの、当たり前の情報が多かったり、情報の具体的な活用方法を見出せなかったりといった原因から情報の有効活用にまで至らないケースも少なくない。さらに、入力された情報が適切に更新されないために、情報が陳腐化してしまうという問題も抱えているのが実情だ。
Web2.0的な技術を取り込み
利便性の大幅な向上を実現
栗原氏によると、KM2.0ではこうした状況を打開することが可能になり、情報の価値を最大限に引き出せるようになるという。では、KM2.0とは果たしてどのようなものなのか。それを一言でいれば、「Web2.0的な技術を取り入れたナレッジマネジメント環境」と表現できる。
現在、Web2.0の明確な定義は存在していないものの、一般的にブログやWiki、SNS、RSSなどのツールや技術がWeb2.0的とされている。それらはインターネットの利便性を大幅に高めるさまざまな特性を備えている。例えばブログを利用すれば、HTMLなどの知識を備えていなくても、容易に日記や掲示板に類似したサイトを構築できるほか、特定のエントリーを一義的かつ永続的にポイントしたり、他のサイトへリンクを張ったりといったことが容易にできる。また、SNSを活用すれば、信頼の置けるメンバーだけが参加するクローズドなコミュニティーを構築できるほか、RSSの通知機能を用いれば更新情報が配信可能になり、ユーザーがサイトの更新を確認するための手間を省けるようになる。
「Web2.0的な技術を活用してナレッジマネジメントの仕組みを構築すれば、さまざまなかたちで社内での情報流通が促されることは容易に予想できる。それがひいては情報活用の活性化につながるわけです」(栗原氏)
一方で、これまで企業ではナレッジマネジメントを進めるにあたり、あらかじめ定められた体系に則り情報を分類して蓄積するという手法を採用してきた。しかし栗原氏によると、このような手法はKMが対象とする業務情報の分類には必ずしも適していない。これらの課題を解決するために栗原氏が提案するのがESP(Enterprise Search Platform)の活用だ。
「ESPを採用することによって、事前に情報分類作業やデータの集約を行わなくても、必要となる情報を検索できるようになる。つまり、ナレッジマネジメント環境の整備にあたり、そのための手間やコストを大幅に軽減できる」と栗原氏はその理由を説明する。
KM 2.0は問題解決になるか?

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