利用者視点でシステムを見直し ビジネスを止めないサイトを構築(前編)

小林 正宗(月刊ソリューションIT編集部) 2004年10月19日 13時00分

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 ANAのホームページ「ANA SKY WEB」経由での航空券の予約は、5年前に比べ、約7倍にまで膨れ上がっている。もはや単なる会社紹介ではなく、同社のサービスを支える重要な事業基盤だ。だが、バーゲン型運賃の導入とともに、トランザクション数が肥大化し、2年前にシステム障害が発生。国際線予約サービスが利用できなくなった。同じ過ちを繰り返さないためにも、アプリケーション状況を自動監視するITツールの導入が必須だった。

 商品購入意思決定に企業ホームページ(HP)の掲載情報が大きく関与--インターネット利用動向調査を手がけるネットレイティングスによると、企業HPの情報を基に、商品やサービスを決定・選択する消費者は、全体の85%にのぼるという。

 アクセス数やコンテンツはもちろん、訪問者を適切なコンテンツへとナビゲートする経路も重要だ。ある米国の調査会社によると、「使いづらいと思うHPに2度と訪れない」としている消費者は、全体の3分の2にも及ぶという。SEO(Serch Engine Optimization:検索エンジン最適化)への注目が高まっているのも、このような背景からだ。

 HPは、既に差別化のためのITツールとなった。見た目やコンテンツへの導線、そこから生まれる付加サービス等、工夫を凝らせば企業イメージは向上する。インターネットショッピングやオークション、コミュニティなどと組み合わせると、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もある。

 ANAが自社のHP「ANA SKY WEB」を立ち上げたのは95年。まだインターネットという言葉が目新しかった時代だ。97年11月には、国内線インターネット予約サービスを、同年12月からは国内線・国際線の発着案内サービスを開始した。競合他社に先駆けてこれらのサービスを提供することで、利用者の満足度を向上させ、企業のイメージアップにつなげるのが狙いだった。

障害が発生するも即時に原因を特定できず

 ANAは、利用者の利便性向上に定期的に取り組んでいる。3度に渡りISPの接続回線を増強し、2000年からは、国際線のインターネット予約サービス開始に踏み切った。これまでは年末年始や5月の大型連休、8月のお盆の時期にインターネットの利用者がピークに達していたが、システムの利便性や回線速度に問題はなく、サービス利用者から不満が出ることは少なかった。

 ところが、2000年9月の新運賃制度導入を境に様相が変わってきた。

 「超割」の愛称で親しまれているバーゲン型運賃制度は、特定の期間に限り、航空チケットが通常の半額、もしくはそれ以下となる。

 超割の開始とともに、インターネット上のトランザクション状況が大きく変わった。超割の予約が可能となる搭乗日の2カ月前の発売時刻に、トランザクションが集中するようになった。これに伴い、システム面で様々なボトルネックが表面化。ANAと同グループの情報システム開発や構築、運用を担当する全日空システム企画(ASP)が、これらの問題に対応することになった。

 具体的に、ISP接続回線を2倍に増強したほか、ホスト通信ゲートウェイの老朽化対応、CDN(Contents Delivery Network)サービスの導入、Webサーバーの増強等に加え、侵入検知システムを導入してセキュリティ対策も実施してきた。

 だが2002年9月、国際線インターネット予約サービスが停止した。利用者からの連絡で明らかになったのだ。長時間にわたり、サービスが止まっていたことは判ったが、サーバーにも不具合がなかったため、障害箇所がどこなのかをすぐに特定できなかった。

 ASPの基盤ソリューション部第一チームリーダーの青木健志氏は「これが国内線だったらぞっとします」と当時を振り返る。現在、航空機チケットの予解約のうち、全体の3分の1がWebを経由したものだ。そのうち9割が国内線で占められる。万一、国内線のサービスが停止した場合、影響範囲は国際線の比ではない。ANAの予解約業務は機能不全に陥ってしまう。

オペレータによる監視をTopaz導入で自動化

 ASPは直ちに対応をした。ISP接続回線を増強したほか、ユーザーが体感するレスポンスを測定するため、協力会社にシステムの監視を依頼した。

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