「総合セキュリティ」の技術開発力とパートナー戦略に死角なし--トレンドマイクロ

インタビュー:別井貴志(編集部)
文:野田幾子、写真:渡徳博 2005年04月18日 11時10分

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2005年1月、代表取締役CEOにエバ・チェン氏を据え、組織変更を断行したトレンドマイクロ。2004年に行われたシスコとの提携や、これまでパートナーであったマイクロソフトのセキュリティ市場参入などにより、急速に環境が変化する中で、トレンドマイクロが採る戦略とは――。同社の創始者であり、現在代表取締役会長を務めるスティーブ・チャン氏に聞いた。

--2005年1月に行われた新CEO就任の背景と意味、トレンドマイクロのビジョンを聞かせてください。

 エバ・チェンは、もともと弊社のCTOでした。開発部隊の指揮を取っていただけあって、製品開発と顧客の声を非常によく知っているキーパーソンでもあります。開発とユーザーの声を今まで以上に合致させ、顧客のニーズに応える製品を作りたい希望がありますし、彼女がCEOになってからはよりそういった動きが大きくなりました。

 また、組織変更により顧客セグメントの分割方法にも変化が生じています。これまでは単に「大中小企業」と「個人」という分け方でしたが、「国別」の概念を取り払い、横割りにしてそれぞれのセグメントに合わせたソリューション開発を始めたのです。これは、企業規模ごとのニーズが各国の文化に関係なく、ほぼ同じであるということがわかったためです。サービスをより強化した、サービスオリエンテッドな企業に実現していきます。

 しかし、CEOが変わってもビジョンに大きい変化はありません。ネットワークウイルスに対する具体策を製品化したのは弊社が一番早いので、「ネットワークセキュリティ関連のナンバーワンベンダー」を引き続き目指します。また、企業がセキュリティ対策のためにネットワークを一度シャットダウンしてクリーニングするという事態を起こさないように、そして顧客の成長を止めないようにするのが我々の使命であるという認識も変わりません。

 しかし、ウイルスのタイプやネットワーク環境は相当なスピードで変わっています。例えば最新のウイルスがファイルタイプからネットワーク感染型に変化したのに加え、携帯電話ウイルスの登場や、ネットワークプラットフォームの変化も起きています。マイクロソフトもセキュリティ市場に参入してきましたし、より挑戦しがいのある闘いになってきているのがポイントではないかと考えます。

--そうした競合にはどのように立ち向かいますか

 具体的な対応策として、パートナーを通じた製品やソリューション販売に加え、幅広いサービス製品の提供にも着手してきました。また、ネットワークデバイスの変貌にも対応しています。例えばNTT東西が発売しているルータ「ウェブキャスター」に弊社のソリューションを搭載したり、2004年に発表したシスコ・システムズとのアライアンスにより、シスコ製ルータに弊社の技術を投入するという曲面を迎えています。

 インテグレーションを行っていく上でサービスをより向上させ、「トレンドマイクロのエンタープライズ プロテクション ストラテジー」(Trend Micro EPS:ウイルスの大規模感染拡大によるネットワークの停止や生産性の大幅な低下などを防ぎ、ビジネス稼動の継続性を守るウイルス対策ソリューション)という、幅広く企業を守る企業戦略に融合させていこうと思っています。Trend Micro EPSは、ウイルスが発生してから収束した後も、コンサルティングや脆弱性の検診なども含めたサービスです。製品とサービスを融合させ、幅広くセキュリティをカバーする戦略につながっています。

 また、弊社はサーバーベースの「InterScan Web Security Suite」(IWSS)シリーズを始めとした、フィルタリング製品のソリューションも提供しています。こちらはURLフィルタリングとスパム対策、メッセージングセキュリティなども含めたコンテンツフィルタリングの技術を製品化したものです。この3つの様式による幅広いセキュリティ展開を考えています。

--NECインフロンティアのPOSシステムへも対応していますね。今後は、他企業と提携しながらそこにトレンドマイクロの技術を組み込む戦略が中心になっていくのですか

 はい。他企業との提携では、それぞれが異なるデバイスを持つために技術との融合で幅広いメリットが得られます。いま話題にのぼったPOSデータのウイルス防止がいい例でしょう。これまでのパートナーとの関係は「製品を売ってもらう」のがメインでしたが、今度は「サービスを提供してもらう」という方式を採ることで、顧客に一番接しているパートナーの強みを弊社にも生かせられます。また、我々はアップデートされたデータを迅速に搭載できるのが強みなので、互いの強み──「ハード」「ソフト」「サービス」の3つをうまく融合させ、新しいものを生みだそうという試みを続けているのです。

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