企業のニーズに合わせて常に進化する--SAPジャパン

インタビュー:別井貴志(編集部)
文:岩崎史絵、写真:渡徳博 2005年04月22日 10時00分

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いまや「エンタープライズシステム=ERP」といっても過言ではないほど、国内企業にしっかり根付いてきたERPパッケージ。このERP市場を日本に築き、発展に寄与してきたのがSAPジャパン(SAP)だ。1992年の日本法人設立以来、「パッケージによるベストプラクティスの確立」をメッセージとし、最小限のカスタマイズとビッグバン方式(ERPパッケージの導入によって企業の基幹業務をすべてカバーする情報システムを全社で一気に再構築する方式)による導入を推奨してきた。今後拡大する市場として中堅・中小企業をターゲットとし、「SAP Business One」など低価格帯の製品をリリースするなど変化が見えるが、今後顧客企業の期待にどう応えていくのか。SAPジャパン 代表取締役社長 藤井清孝氏が語る。

--SAP社のERPパッケージ「R/3」は、俗に“一枚岩”といわれる強固なアーキテクチャを元に、ビジネスデータを一元化した効率的な経営をうたっていました。しかし昨年発売された「SAP NetWeaver2004」ではその概念をくつがえすように、既存システムとの連携やカスタムアプリケーションの開発・追加などを推奨しています。このように、製品のアーキテクチャやメッセージが変化してきたのはなぜですか。

 確かに、以前のR/3は企業の全基幹業務をまかなうパッケージ製品として、密連携のアーキテクチャを実装していました。これにより、企業のビジネスデータを一元的に管理して、リアルタイムな経営状況の把握が実現できたわけです。また、パッケージに実装されているビジネスシナリオをわれわれは「ベストプラクティス」と呼んでいますが、これに従うことで、「無理、無駄、ムラ」のない優れたビジネスプロセスを企業内に確立できます。

 ただし短期間でこうした効果を出すには、企業システムをR/3で置き換えることを推奨していました。当然、大規模なプロジェクトになるので開発工数も相当必要になります。また、自社のビジネスプロセスをパッケージに置き換えることに抵抗がある経営者も少なくありません。

 SAPの製品やメッセージが変化したのは、こうした顧客企業のニーズがあったからです。それに追加して、ウェブ技術の目覚しい進歩がありました。こうした意味で、SAPは常に進化し続けていると捉えていただきたいと思います。

--ウェブ技術は、ユーザーにとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

 まずWebサービス技術により、これまでのようにシステムの変更が困難な密結合ではなく、疎結合によるゆるやかな連携が実現できます。つまりエンタープライズシステムとして、統合的なプロセスを実現でき、新たなシステムの追加や変更が容易になります。これを実現するために、2004年に発表したアプリケーション実行基盤が「SAP NetWeaver2004」です。これはR/3を始めとするSAP製品の実行基盤であると共に、既存システムを連携させて統一した全社システムを作るためのプラットフォームでもあります。

 これにより、ユーザー自身が持っている固有のビジネスプロセスを活かせるというメリットも生まれます。たとえば、これまでの導入ケースを見ると、ユーザー企業の中には必ず「パッケージ反対派」という方々がいらっしゃいました。そこを賛成派が押し切ってR/3を導入する、というのがこれまでのパターンだったのです。ところが現在は、賛成派も反対派もいません。なぜなら、SAPソリューションの中に各企業固有のビジネスプロセスも取り込めるようになったからです。

 当社のビジネス状況を説明すると、2000〜2004年の間に売り上げが3倍に拡大しました。これは「SAP製品が入って効果が出やすいところ」と「自社の強みであるビジネスプロセス」を融合させて、相乗効果を出せるようになったためだと考えています。

 さらにもう1つ、ウェブ技術のメリットを挙げるとすれば、現在のビジネス環境の変化スピードに追従できるようになった点があります。企業の事業が変わるということは、システムも変えなければいけないということです。ところがかつてのR/3では、構築に非常に時間がかかるというデメリットがありました。

 われわれは「ESA」(Enterpries Service Architecture)と呼んでいるのですが、こうした事業内容やビジネスを1つのモジュールとし、そのモジュールをシステム上でサービス化して、疎連携を実現するというコンセプトを打ち出しています。2005年以降、SAPが提供する新製品はすべてこのESAのコンセプトにのっとった製品です。

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