IBMとサンが関係修復--その発表の舞台裏

Dan Farber(ZDNet.com) 2005年06月29日 20時38分

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 JavaOneの会場で、Javaの生みの親であるJames GoslingがIBMのWebSphere担当ゼネラルマネージャRobert LeBlancと親しそうに話しているのを見て、これは何かあるな、という予感がした。会場にはRod Smithの姿もあった。Smithは、IBMの新テクノロジー担当バイスプレジデントで、Javaのオープンソース化を支援している人物だ。私の予感は見事に的中して、IBMはJavaの使用ライセンスを2016年まで延長し、IBM製ミドルウェアのすべてをAMDとSparcプラットフォーム上で稼動するSolaris 10に対応させると発表した。IBMがSolaris 10を支援するに至ったのは、Sunの社長兼COOであるJonathan Schwartzが2005年1月にIBMのCEO、Sam Palmisanoに公開書簡を宛てたことに端を発する。それ以来のSunの努力が結実したのである。書簡の中でSchwartzは、Solaris 10のサポートに消極的なIBMの態度を非難し、Palmisanoの顔に泥を塗った。

 またSunは同日、Javaソフトウェアの一部をオープンソース化することを発表した。Sunの「Java System Application Server Platform Edition 9.0」と「Java System Enterprise Server Bus(Java ESB)」がSolaris 10の無償公開に続いてオープンコミュニティに開放される(Sunによると、1月以来Solaris 10のダウンロード件数は170万件にのぼっているという)。「Sunは、自社のすべてのソフトウェア製品をオープンソース化するという取り組みを続行するうえで、初めの一歩を踏み出した。ビジネス界にとっても、世界にとっても、有益な出来事だったと考えている」とSchwartzは述べる。

 Sunはこれにより、ソースコードの共有とコミュニティ作りに励むことになる。Sunの言う「世界にとって好ましいこと」とは、FOSS(Free Open Source Software)モデルによってソフトウェアとサービスの市場が拡大されることを意味する。可能な限り大きな市場を開拓し、同時にデジタルデバイドの問題を解消するためには、ソフトウェアをフリーで配布する形態が欠かせないとSchwartzは語った。

 ビジネス界にとって好ましいことは、企業が、オープンソースのソフトウェアを使って優れたシステムやサービスを構築すれば、自社サービスのシェアを伸ばせることだ。JavaOneカンファレンスの質疑応答の席で、McNealyは、Red HatのLinuxより、Solaris 10の方が高速に稼働し、品質も良く、安価だと述べた。今のところ、Red HatはオープンソースのSolaris 10によってそれほど影響を受けているようには見えない。McNealyはまた、「JBI(Java Business Integration)の動きに加わらない者は取り残されてしまう」とも語った。だが、これは、どういう動きに加わるかにもよる。統合エンジンにするか、エンタープライズサービスバスにするか、あるいはオペレーティングシステムにするかは、表面的な言葉だけの問題ではない。だが、McNealyにとってはJBIというキーワードがコミュニティと対話するきっかけになるだろう。

 私は、Sunと同じようにIBMも同社のアプリケーションサーバをオープンソース化するつもりがあるかどうか、LeBlancに尋ねてみた。彼の答えは、「市場にはすでにオープンソースのアプリケーションサーバが十分存在する」というものだった。IBMは、絶滅しかかっているUnixの代わりに、企業がオープンソースLinux、あるいはSolaris 10を採用するのは実用的ではないと考えている。DB2やRational、Tivoliのオープンソース版が登場することに期待しない方が良さそうだ。しかし、Eclipseなどのようなプロジェクトは、IBMがオープンソースの分野でどういう戦略を考えているかを知るヒントになる。

 LeBlancとSunの戦略アライアンス担当のバイスプレジデントであるSouheil Salibaに、IBMとSunの関係修復の舞台裏ではどんな駆け引きがあったのか尋ねてみた。Salibaは詳しいことは教えてくれなかったが、Javaに関する交渉については、10年前とそれほど変わっていないと述べた。2つの会社がオープンソースの役割について異なった考えを持っていることは明確だが、IBMは、Javaのオープンソース化に強い関心を抱いており、Java Community Processを通してJavaに対する影響力を強めようとしている。私の同僚のDavid Berlindは、IBMがJavaに対する「コントロール」を自社の方にもっと引き寄せたがっていると長い間信じてきた。同時に、SunとIBMは両社とも、Microsoft(の.NET)をお互いのビジネスを脅かすものとみなしている。

 Sunは、IBMやMicrosoftとパートナーシップを結ぶことによって、自分の敵であるどちらの企業とも仲良くやっていこうとしている。だからといって、これらの会社が喧嘩もせずにずっと和やかに付き合っていけるとは限らない。だが、ソフトウェアのオープンソース化や、オープンな標準規格の推進といった動きによって、ベンダー同士の無駄な競り合いは減り、顧客が迷惑を被る確率は低くなるだろう。

 

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