国家レベルでOSSプロジェクトを推進する韓国

小川陽平(編集部) 2007年02月13日 16時54分

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 北東アジアOSS(オープンソースソフトウェア)推進フォーラムで、韓国大統領府 革新地方分権委員会 電子政府チームのJong-Hyun Lee氏から、OSS導入における韓国政府の取り組みについての発表があった。

 革新地方分権委員会は、大統領諮問、政策諮問機関で、Lee氏は電子政府チームの課長だ。OSS推進のために様々な施策をとる委員会の中で、Lee氏の業務の3割は電子政府作りに費やされているという。

Lee氏 韓国大統領府 革新地方分権委員会 電子政府チームのJong-Hyun Lee氏

 まずLee氏は、韓国の公務員が持っているOSSのイメージとして、「ソースが公開されているためにセキュリティが弱く、また問題が起こったときに責任が不明瞭である」、「技術支援が不足し、また専門の人材も不足ぎみ」、「事業として参照するモデルが少ない。また、少ない参考モデルを検証する仕組みが未成熟」といったネガティブなイメージが多いことを指摘した。

 では、こうしたイメージを払拭するために、韓国政府はどのような施策を行ってきたのだろうか。

国家レベルで導入が推進されるOSS

 韓国では、大統領の指示により、2004年に政府公共機関がOSSの利用を推進できるように法案を提出。また、2004年10月には、電子政府整備の際にOSSの利用を積極的に検討するようにとの指示が出されている。そして、2005年11月には、政府機関でサーバレベルでOSSの利用が決定。現在もそれら導入のための施策が検討されている。

 Lee氏が所属する革新地方分権委員会では、2004年11月にOSS導入のためのガイドラインを作成し、関係各所へ配布した。また、現在でもOSS導入のための適応案を研究中だ。

 企画予算省の事例としては、予算申請の方針としてOSSを優先的に検討するようにし、予算面でも省庁の要望に沿った柔軟な運用ができるようになっている。また、行政自治区へは電子政府作りを支援し、情報通信やシステム構築、運用技術のガイドラインなどを作成したほか、調達省ではIT関連の調達や委託、リース依頼の際にもOSSを導入しやすくなるように運用の改善が行われている。

 こうした努力の結果、2007年予算案の作成指針では、電子機器や運営体制などは業務遂行の上で問題がないのであれば、政府機関の情報共有と活動のため、オープン型を導入すべきと記載されている。

 また、作成指針を実現するために、革新委員会では大規模な教育やセミナー、そしてガイドラインの作成など多くの施策を行ってきたが、それでも迅速な導入は困難だったという。その中で導入が効率的だった方法の例としてLee氏があげたのは、大規模な情報化事業の推進や、新設された省庁を対象に行った現場レベルでの説明会だった。

 説明会では、防衛事業庁や刑事司法統合推進団、市民からの声を集めるコールセンターなどへ民間と一緒に訪問し、トップマネージャーからエンジニアまで全員とディスカッションを繰り返し、OSS導入の際の問題点を洗い出していった。そして、それら問題点をふまえ、現在は技術活性化法案、普及活性化法案について研究、検討を行っている。

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