協調フィルタリングの課題を解決する--ECサイトのレコメンド技術を考える(4)

高島理貴(ケイビーエムジェイ) 2008年06月18日 08時00分

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 前回は、協調フィルタリングの基本処理の仕組みを解説すると共に、基本処理だけでは課題が残ることも説明した。今回は、「協調フィルタリング×アイテムベース」を採用しているケイビーエムジェイの「パーソナライズド・レコメンダー」を一例として、その課題の解決方法を解説しよう。

 本題に入る前に、そもそもECサイトにとって課題となる要件を考えておきたい。そのために、まずECサイト運営者のニーズからドリルダウンしてみよう。

 ECサイトの大命題は、もちろん「売上げと利益を向上させること」だ。これを達成するためのマーケティング活動では、「ユーザーにより多くの商品を見てもらい、より多くのユーザーをコンバージョンに結び付けること」が目標となる。これが第1回でも説明した「ECサイトのニーズ」である。こうしたニーズに応える技術がレコメンド技術で、この技術の採用にあたっては「導入・運用のしやすさ(費用対効果の向上)」と、「ユーザビリティの向上(売上げの向上)」の2点が重要視される。

 導入・運用のしやすさという面では、初期費用と運用費用等から見る費用対効果、運用にかかる手間、さらには万が一に備えた保守やサービスの安定感が重要となる。一方、ユーザビリティの向上という面では、売上げ向上のためにユーザーをどれだけ障壁なくコンバージョンに結びつけられるか、つまり「ファン(リピーター)」を増やすことが重要となる。

 ユーザビリティの向上について、さらに深く掘り下げてみよう。

レコメンド技術によるユーザビリティの向上とは?

 ユーザビリティを向上するために必要なことは、コンバージョンに結びつく効果的なレコメンドや、商品検索・回遊導線の向上、セレンディピティ(思いがけない発見のこと:第2回参照)、ユーザーへの安定供給、簡単に意図的なレコメンドができることなどだ。

 一方、レコメンド技術を導入した結果、起こってはならないこととしては、不適切なレコメンドや、重複したレコメンド、既存システムに負荷やリスクを与えることだ。これではユーザビリティを悪化させることになってしまう。

 ここで述べた内容は、一線で活躍しているECサイトの運営者にとってはごく当たり前のことかもしれないが、導入にあたっては、このレコメンド技術に必要な項目を再度確認してほしい。レコメンド技術という大きな枠での課題ではなく、「ECサイトに導入するレコメンド技術」において必要な項目を洗い出して初めて、売上げと利益の向上につながるのだ。

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