失敗から学ぶ「初めてのプロジェクト管理」--初心者とその上司の心得

文:Paul Glen(Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-04-22 08:00

 初めてプロジェクト管理を行う新米プロジェクトマネージャーにとって、成功へのこだわりは最大の障壁となる。本記事では、こういった人たちにとって本当に必要なものを3つ挙げている--そして、早い段階での成功というものはその中に含まれていないということの意味について解説している。

 成功は成功の源であること(成功が次の成功を呼び込むこと)を意味する「Nothing succeeds like success」という英語表現がある。しかし、プロジェクト管理に限って言えば、失敗こそが成功の源なのである。

 ITプロジェクトの管理は、それを初めて手がける場合には特に、非常に困難なものとなる。プロジェクト管理を行っている間は昼も夜も、ストレスや心配ごと、夢、願望、恐れでいっぱいの生活を送ることになるのだ。新米プロジェクトマネージャーのなかには、新たに得た権力に圧倒されてしまう者がいる一方で、責任の重みに押し潰されてしまう者もいる。しかし、ほとんどのプロジェクトマネージャーにとっては、個人的な失敗とプロジェクトの失敗の双方を避けることが、最優先の課題となっているはずだ。

 こういった恐れはしばしば、プロジェクトマネージャーの上司によって植え付けられたり、ことさらに強調されたりするのである。彼らは新しい仕事を指示する際に、「失敗するなよ」とか「頭角を現すチャンスだぞ」とか「こちらの立場を悪くして、このチャンスを与えたことを後悔させたりするなよ」といった言葉を投げかけるのだ。しかし、信じられないかもしれないが、こういった類の言葉は実際には新米プロジェクトマネージャーの成功を手助けすることになるのである。

 プロジェクトマネージャーにとって、この種の恐れは生産性を低下させるだけではなく、的はずれなものであると言えるだろう。しかし、実際のところ私は、すべての新米プロジェクトマネージャーがとにかく失敗しなければならないと考えているのだ。私は失敗しても構わないと言っているのではない。そう、失敗しなければならないのだ。失敗しなければ、有能なプロジェクトマネージャーになるための教訓が得られないと言っているのである。実際、非の打ちどころがないほどの成功を収めてしまった場合、彼らのマネージャーとしてのキャリアは数年遅れをとることになる恐れもあるのだ。

 筆者はマネージャー、コンサルタント、教育担当者、指導者として、これまでに数多くの新米プロジェクトマネージャーとともに仕事をしてきた。その結果、彼らの成功を阻む最大の障壁が、成功へのこだわりであると確信するに至ったのだ。さまざまな難関を突破し成功した者は、傲慢と自信過剰という、キャリアを潰す2大要因の餌食となり、成長と学習の機会を失ってしまうのである。

 プロジェクト管理という業務は複雑なものであるため、タスクや要員、リスクの管理といったすべてのものごとが持つ微妙な側面を初心者が完全に極めることなど、まったくもって不可能なのである。それだけではない。実際のところ、どれだけ経験を積んだ人であったとしても、すべてを完全に極めることなど不可能なのである。初めてのプロジェクトで成功を収めてしまった場合、自らの行ったことについて誤った自信を持つに至り、向上心を放棄してしまうのだ。彼らは、今や一人前のマネージャーであり、どんな仕事でもこなせると思い込んでしまうのである。

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