4. Windows 8
4つ目は「Windows 8」。マイクロソフトが10月に発売した次世代Windowsである。WindowsはPC向けOSとして圧倒的なシェアを持ち続けていることから、次世代版の売れ行きはICT市場にも大きなインパクトがある。Windows 8については企業向けとしてこんな発言があった。
「現在、Windows 7を導入展開している顧客には、特定の用途でWindows 8の利用も薦めている」 (米Microsoft Erwin Visser シニアディレクター、12月14日掲載)
Visser氏はWindows 8について、「多様なデバイスをネットワークに常時接続でき、ビジネスでもプライベートでも同じデバイスを利用したいというニーズに対応して開発したOSだ。したがって、プライベート向けとともにビジネス向けにも最適なOSとして妥協のない設計を施している」と強調している。
さらに「Windows 7とWindows 8の互換性はもちろん、混在した環境で利用できるので、企業の投資を無駄にすることがない」とし、発言のようにWindows 8の早期導入を促している。
法人ユーザーのクライアント環境をめぐっては、2014年4月にサポート期限を迎えるWindows XPから新環境への移行が課題となっている。現状ではまだ半数程度の法人ユーザーがWindows XPを利用しているともみられているが、ここ1年ほどでWindows 7への移行も徐々に進んできた。Visser氏が薦めるように、そうした動きにWindows 8が加わって、移行を加速させることができるかが注目される。
5. SDN
5つ目は「SDN(Software Defined Network)」。SDNはクラウド上でネットワークの仮想化と運用の自動化を可能にする新しい技術モデルとして注目を集めている。SDNについては次のような発言があった。
「柔軟なクラウド環境を構築するためには、サーバやストレージの仮想化だけでなく、ネットワークも仮想化する必要がある」 (ストラトスフィア 浅羽登志也 代表取締役社長、6月6日掲載)
SDNは複数の機器で構成ネットワーク全体をソフトウェア制御することにより、ネットワークの仮想化を実現する。SDNのもとでは場所に依存することなく、分散したデータセンター間でも必要な台数の仮想マシンの増設や移行を、任意のネットワークトポロジーの下で、容易にかつ短時間で行えるようになり、より柔軟なクラウド環境の構築が可能になるという。
SDNは業界関係者の間でも「近い将来、ネットワーク市場の主流になる」と見る向きが少なくない。
これら5つは2012年に注目されたICTトレンドのキーワードということで取り上げたが、どれも今後の進展ぶりがこれからのICT市場に大きなインパクトをもたらすものばかりである。来る2013年もこれら5つの分野をはじめとして、ICT市場のさまざまな動きをとらえた多くのキーパーソンの明言に注目したい。
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