またやってしまったようだ。
ウェブブラウザとOSの全世界での利用状況に関する月次レポートを毎月1日に発表しているアナリティクス企業Net Applications(Net Market Shareとしても知られる)は米国時間1月1日、最新の調査結果を発表した。どうやら2014年12月は、大変革が起きた時期のようだ。文字通り一夜にして、と言ってもいいほど唐突に、数億人のユーザーがコンピューティングの習慣を変えたことになっている。
例えば、「Desktop Top Browser Share Trend」(主要デスクトップブラウザのシェアトレンド)ページには当初、以下のグラフが掲載されていた。
だが、これらの数字はどう考えてもおかしい。10年以上前に終了した「Netscape Navigator」ブラウザが、HTTP版の「Zombie Apocalypse」(ゾンビの黙示録)のように、世界のコンピュータの12台に1台で突如として再び使われ始めたという事実はないし、何億人ものユーザーが突然「Internet Explorer」(IE)から「Google Chrome」に乗り換える決断を下したという事実もない。
本稿執筆現在では、そのグラフの代わりに、もっと信憑性がありそうな以下のバージョンが掲載されている。
Net Applicationsの広報担当者は、電子メールで送信した声明で次のように書いている。「現在、システム全体のアップグレードを実施しているところだ。それにはデータ収集とレポートの両方のシステムが含まれる。われわれは今後数カ月、さまざまな変化に対処していかなければならないだろう」
それは控えめな表現だ。
Net Applicationsはこのところ、ミスと慌ただしい修正を何度も繰り返すという失態を演じており、今回の一件はその最新の例にすぎない。同社が発表する数字は、米ZDNetをはじめ、さまざまなデータを紹介するテクノロジ系ニュースメディアによって、広く報じられてきた。
Net Applicationsは10月、「Windows XP」のシェアが急激に低下したことを報告したが、改めてその数字を調べた後に更新情報を掲載し、この報道価値のありそうな変化が起きたのは、「中国の大規模なパブリッシャーグループ」からのデータの影響を相殺する修正を行ったためだと認めた。そのパブリッシャーグループの訪問者は、ほぼWindows XPだけを使用する。
11月も、XPのシェア低下は続いたようだ。その一方で、「Windows 8.x」のシェアが急増した。ただし、筆者の同僚であるJack Schofield記者は当然のごとく、その数字に疑問を抱いた。Schofield記者は「この数字が事実でないことを確信している」と伝えた。
筆者も同様に、2015年1月の数字も空想に過ぎないことを確信している。本稿執筆現在のグラフを掲載するので、皆さんも自分の目で確認してほしい。