谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」

小売業が変わる、工場同士をつなぐ--シスコが「IoE」で実現しようとしていること - (page 2)

谷川耕一

2015-08-26 07:30

つなぐことで生まれる製造業の革新

 IoEという観点から、製造業に対しシスコはどのような提案をしているのかというと、「スマートマニュファクチャリングで、顧客自身の自動化を推進しています」(木下氏)とのことだ。

 最近の製造業は少量多品種化の傾向がある。その実現には、生産ラインに柔軟性がいる。機敏に組み直せる生産ラインが求められるのだ。「そのためには、部門間の業務を連携させるところをもっとやらなければならないでしょう」と木下氏。

 もう1つがビッグデータの活用。設備や在庫のデータをIoEで捉え分析し、品質向上や無駄のない生産につなげる。

 少し観点が違うところでは、タブレットのようなスマートデバイスの製造現場での活用がある。「専用端末はこれまでも使われてきましたが、われわれが提案するのは汎用のタブレットなどです。そのためのWi-Fiの整備なども合わせて行っています」(木下氏)

 顧客の何をスマート化するかによって、シスコとして手伝えるところが変わる。たとえばスマート化のためには、まずはネットワークでつなぐ。モノ、人、組織、さらには企業間を業務としてつなぐ。そういった提案を製造業に対し積極的に行っている。

 実際に、工場の中をどうつなげればいいのかの相談はよくあるとのこと。工場内の自動化は、製造業では80年代から盛んに行われてきた。それであるプロセスを自動化するために必要なところはつながっているが、工場すべてがつながっているわけではない。「専用端末では情報が見えます。それを汎用のタブレットなどで、どこにいても見えるようにするのです」(木下氏)

 あるいは、シリアル接続されている機器をイーサネット化するところから入ることもある。配線が固定化した生産ラインでは柔軟性がない。これを無線化できれば、配線のつなぎ直しなどせずともラインを組み替えることができる。さらには、モニタリングも無線化したほうが情報を収集しやすい。工場内の情報を集められれば、予防保全などにも結び付けられる。

 つなぐところで2つ目にシスコが行っているのが、複数拠点の接続だ。工場や販売拠点、開発拠点などは月次や週次でしか情報のやりとりができない場合も多い。それを週次や日次、あるいはそれ以上のリアルタイム性で情報のやりとりできるようにつなぐのだ。これはシステムをつなぐだけではない。たとえばリモートでコミュニケーションができる仕組みがあれば、人が拠点に出向く必要がなくなる。映像や音声でコミュニケーションをとる、さらにウェアラブル端末を使ってバーチャルに作業指示をする。実現すればトラブル対応できる人がすべての拠点にいなくても、素早く対処可能となるだろう。

 3つ目のつなぐ提案は、工場などの製造領域だけでなく、営業や販売なども含んだ企業活動のバリューチェーン全体をつなぐものだ。これらつなぐ提案でシスコではコネクティッドファクトリーやスマートファクトリーを実現する、そのためのリファレンスモデルを開発している。このリファレンスモデルでは、ファクトリーオートメーション機器ごとの接続レベルまで明らかにしており、リファレンスガイドとして公開もしている。

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