Androidをベースとしたモバイルマルウェアの詳細が明らかになった。悪用されると管理者権限を持ち、スマートフォンの機能を完全に制御してしまうという。
Heimdal Securityのセキュリティ専門家、Andra Zaharia氏によると、このマルウェアは「Mazar Android BOT」と呼ばれるもので、SMSやMMSメッセージにより拡散するという。悪意あるリンクが仕込まれた以下のようなメッセージを送り、ユーザーにクリックを促す。
"You have received a multimedia message from +[国番号] [送り主の電話番号] Follow the link http: //www.mmsforyou [.] Net / mms.apk to view the message.”(+[国番号] [送り主の電話番号]からマルチメディアメッセージを受信しました。次のリンクをクリックして下さい)
リンクはAndroid Application Package(APK)をさしており、ユーザーに対して、マルウェアとは思えない”MMS Messaging”という名称のパッケージをダウンロードするよう促す。
パッケージをがインストールされると、悪意あるコードは自身に管理者権限を与える。これにより、ユーザーの同意なくプレミアムSMSにメッセージを送信したり、ブラウザのセッションをハイジャックしたり、デバイスをルート化したり、電話とテキストメッセージをモニタリングしたり、デバイスのデータを取得したりすることが可能になる。
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より深刻なこととして、Mazarは感染したデバイス上で保存しているデータを完全に消去することもできる。また、オンラインバンキングやソーシャルメディアアカウントが利用する2要素認証システムの一部としてデバイスに送られた認証コードを読み取ることも可能という。
Zaharia氏はブログで、マルウェアの拡散と地理的なターゲットは現時点ではわからないとしている。Mazar APKは、2015年11月にRecorded Futureにより最初に発見された。Recorded Futureは当時、同マルウェアは感染したデバイス上にTorをダウンロードして動かし、隠れたOnionサーバとC&Cサーバに接続すると報告していた。
だが、マルウェアの機能はさらに拡大しており、Mazarを利用するサイバー犯罪者はHTTPプロキシ「Polipo」を実装した。これにより、Androidデバイス内のさらなる機能にアクセスできるようになった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。