ネットスコープジャパンは5月29日、新たなワンストップクラウドセキュリティーソリューション「ONE Cloudセキュリティプラットフォーム」の国内提供を開始すると発表した。併せて同社の国内7社目のパートナーとして伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と販売代理店契約を締結したことも発表した。
米Netskope 創設者 兼 チーフサイエンティストのKrishna Narayanaswamy氏
まず同社のソリューションの概要について米Netskope 創設者兼チーフサイエンティストのKrishna Narayanaswamy氏が説明した。同氏は、旧来の自社データセンターとインターネットの間にセキュリティー境界を設けて内部と外部を区別し、内部を防御するというセキュリティーアーキテクチャーがクラウド時代には通用しなくなっている点を指摘した。
重要なデータやアプリケーションがクラウドに置かれている状況では、かつての様なセキュリティー境界を設定することは困難だ。そこで同社が採った戦略が、クラウド上にセキュリティーをサービスとして実装することであり、「Netskope ONE Cloud」として提供する。Netskope ONE Cloudは、従来のCASB(Cloud Access Security Broker)としての機能にとどまらず、IaaSの可視化や制御、ウェブフィルタリングなどのウェブプロキシ機能も備えることから、同社ではNetskope ONE Cloudを「ONE Cloudセキュリティプラットフォーム」と位置付けている。
Netskope ONE Cloudの概要
また同氏は、同社の技術面での特徴として「Cloud XD Technology」を挙げた。XDは。「Extreme Definition」の意味だといい、端末からクラウドへのアクセスについて、「ユーザーが誰なのか」「ユーザーがいる場所(オフィスなのか空港なのか――など)」「アクセスに使用しているデバイスは業務用か個人所有か」「アクセス先のアプリケーション/サービスは何か」「アクセスしようとしているデータは機密データか否か」「何をしようとしているか(アップロード/ダウンロード/編集など)」といった詳細を把握した上で、それぞれの状況に応じて適切なポリシーを適用して、アクセスコントロールができるとした。
Cloud XD(Extreme Definition)が認識する要素
次に、Netskope グローバル・セールス担当上級副社長のChris Andrewsは日本市場に向けたメッセージとして、日本での展開を優先しているとした。同氏は、日本の市場規模がセキュリティー分野ではグローバルで2位もしくは3位で、クラウドの普及率も急速に高まりつつあるとし、「今が日本に展開すべき時期だと判断して日本にオフィスを開設した」と語った。
最後に、ネットスコープジャパン カントリーマネージャーの大黒甚一郎氏が、日本でのビジネス状況について説明。日本では完全はパートナーモデルで事業を行うとし、パートナーには単なる再販事業者ではなく、同社のビジョンやキーメッセージを正しく顧客に伝えられることなどを求めていると明かした。現在同社の国内販売代理店は7社体制だが、同氏は「量より質が大事」「いったんのパートナー制度は完成」と語っており、現時点ではこれ以上パートナーを拡大していくことは考えていないとしている。
なお、ONE Cloudセキュリティプラットフォームは、「Netskope for SaaS」「Netskope for Web」「Netskope for IaaS」の3つのライセンスで構成される。「for SaaS」は一般的なCASBに相当する機能で、参考価格は1万5000円(1ユーザー/年間サブスクリプション)。「for Web」はウェブフィルタリング機能で、業務に無関係なサイトや有害なサイトへのアクセスをサイト/カテゴリごとに指定して制限できる。参考価格は6000円(同)。「for IaaS」はAmazon Web ServicesやGoogle Cloud Platform、Microsoft AzureといったパブリッククラウドのIaaSリソースを横断的に監視し、セキュリティレベルの把握/向上を可能とする。参考価格は2万円(同)となっている。