Atlassianの最高情報責任者(CIO)Archana Rao氏と、ワークフォースイノベーションの専門家Sophie Wade氏は、仕事の未来、スキル、データとテクノロジーが交差する領域について、さまざまな知見を持っている。
筆者は、ニューヨークで開催されたAtlassian主催のカンファレンス「Future of IT」で、この2人がパネリストとして参加する、仕事の未来をテーマとしたパネルディスカッションのモデレーターを務めた。ここでは、その議論の要点を紹介したい。
1.テクノロジーとデータによって、仕事のあり方は直線的なものではなくなった。Wade氏は次のように述べている。
テクノロジーはあらゆるものを加速しており、データ収集もスピードアップされ、顧客からのフィードバックループも非常に高速なった。企業がそのデータを本当に求めているか、対応できるかどうかに関わらずだ。以前の仕事は直線的で、構造化されており、ゆっくり進むものだったが、今ではまったく異なる労働環境とビジネス環境に対応しなければならなくなっている。
2.ビデオミーティングは遠隔勤務を可能にする上で重要な要素になる。Rao氏は、コラボレーションやチーム作りでは、今後動画が重要になっていくと語った。
AtlassianのITチームは、技術の最先端を走り続け、「Zoom」などのツールを使って、従業員の間の強力なコラボレーションを促進しようとしている。実際、Atlassianではすべてのミーティングがビデオミーティングで行われており、全員が動画を共有している。わが社ではどこで働いているかは問題ではなく、アメリカのオフィスにいようが、オーストラリアのシドニーにいようが、自宅で働いていようが関係がない。このような業務の進め方をしているのは、チームの協調性と生産性を高め、もっとも効率的なやり方で仕事を進められるようにしたいからだ。
3.従業員が働く動機は金銭だけではない。テクノロジーを使うことで、従業員のニーズを満たすことができる。Wade氏は、「私はテクノロジーを使って働き方をカスタマイズし、それぞれの従業員に合わせることができると思っている。1人1人に『どういう働き方が一番いいか』と尋ねるべきだ」と語った。
4.従業員の離職率を下げるには、柔軟性やワークライフバランスのような無形のメリットが重要になる。Rao氏は次のように述べた。
現在の企業は、さまざまな状況に即応したり、状況に応じて方向転換をしたり、あらゆる情報を取り入れたりすることができるように、従業員に多くのことを求めるようになっている。だがその代わりに、企業を支える従業員に対して何を返せるかも考えていくべきだ。
5.共感が重要になる。人間にとって変化への対応は心理的に難しいにも関わらず、企業は常に変化している。Wade氏は、企業が成功するには共感が重要だと語った。同氏は「もっと従業員の気持ちに寄り添う必要がある。共感や本当に理解することが重要であり、その結果として、ソフトスキルが重要になってくる」と述べている。