Salesforceの最高技術責任者(CTO)Parker Harris氏は最近、米TechRepublicのBill Detwiler記者とのインタビューで、同社のビジネスやアーキテクチャ、障害対応、統合などについて語った。
このインタビューは、Salesforceの開発者向け年次イベント「TrailheaDX」において、2020会計年度第1四半期決算発表を目前に控えた日に行われた。以下では、その内容の中から重要な点を4つ選んで紹介する。
CTOとしての役割
Harris氏は、Salesforceのクラウドとユーザーインターフェース(UI)の統合に注力してきているとし、「その鍵はアーキテクチャにある。われわれは、保有している多くのテクノロジー製品の再発明をしようとは考えていない。他社のほとんどのCTOもそんなことはできないはずだ。そうだろう?」と述べ、「われわれは、ログインと認証に向けたアイデンティティーレベルの統合を目指している。このため、CXOがそれを実行しなければならないということになる。われわれは、同じサービスだと感じられるよう、UIレベルでの統合を進めている」と続けた。
Customer 360
Harris氏は、「Customer 360」を縁の下で支える統合作業は順調だとしたうえで、「数年前であれば、世界のCXOたちはマスターデータ管理という言葉を私が口にしただけで、身をすくめていた。今でもその言葉を聞けば、『それは完全な失敗だった。ひどいものだった』という感想を返してくるはずだ。しかし、Customer 360は顧客のマスター管理と捉えることができる。何も再発明する必要はなく、すべてのシステムを通じて顧客を一意に特定し、その情報を得られるようになる」と述べた。
Salesforceにおける統合
Harris氏によると、顧客は複雑なマルチクラウドアーキテクチャを使用するようになってきているという。同社にとっての課題はそれらとの調和だ。同氏は次のように述べた。
私の主張は、「顧客を中心に据えた観点からアーキテクチャに目を向けよう」というものだ。私は、Salesforceのアーキテクチャを顧客に語ろうとは考えていない。顧客のアーキテクチャとはどのようなものであり、Salesforceはどのようにしてそこに入り込んでいけるのだろうか?またそういったなか、UIや統合、ワークフロー、業務プロセスの開発にかかわらず、Salesforceの開発プロセスをどのようにして確実に適用していくか、そして実際にコードを開発し、Gitのような近代的な手段でコードを保管する一貫性ある方法をどのようにして確実に適用していけるのだろうか?それがUIであるかロジックであるか、コードの格納か、バージョン管理かにかかわらずだ。またアップグレードや、必要に応じたダウングレード、さらにはロールバックなども考えなければならない。
Pardotの障害
Harris氏は、「Salesforce Pardot」の全サービスを停止させるというのは苦渋の決断だったが、理にかなっていたとし、次のように述べた。
われわれは非常に難しい決断をした。しかし、顧客の情報すべてを保護することを優先し、ネットワークの遮断に踏み切った。
私は多くの顧客に対して電話で事情を説明し、謝罪するとともに、今後このようなことは起きないと約束した。そのなかで、多くの顧客から感謝の言葉をもらった。われわれが自らの価値観に忠実であり続けるとともに、セキュリティが何よりも重要であり、顧客データの安全に対する信頼の維持が最も大事な仕事だという明確な態度を貫いたことを、顧客は評価してくれたのだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。