業務用Androidアプリを社内で開発するには

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-07-05 06:30

 InnserveのITディレクターKieran Delaney氏は、「独自の業務用モバイルアプリを開発すると決めたとき、われわれは、これが競争上の差別化要因の1つになり得ると考えていた」と話す。

 Delaney氏によれば、従業員が必要とする機能を確実に実現するための最善の方法は、社内でAndroid用アプリを開発することだという。同社は、英国にある8万軒のパブやバー、カフェに設置されたドリンクサーバーを管理している。

 「Androidによって、時間をかければ必要なソフトウェアを開発できる能力を得ることができた。わが社の作業員は現場でリアルタイムでデバイスを使うことができ、そのデータは本社に送信され、在庫管理に素晴らしい効果を発揮している」と同氏は言う。

 Delaney氏は、Androidのメリットは柔軟性と開放性にあり、これは特にiOSデバイスでは限定的にしか対応していない特定のハードウェア(例えばバーコードリーダーや赤外線画像カメラなど)の取り扱いに関して重要になると述べている。

 Innserveの現場作業員は、このアプリを使って1日に最大10カ所を巡回するスケジュールを受け取り、移動経路を計画し、それぞれの作業に関する情報を記録する。ハードウェアに関しては、英国各地の現場作業員にパナソニックのAndroidタブレット「Toughbook L1」を配布しているという。

 このデバイスは、現場作業員が部品の注文や返却を行うのにも使用されるほか、電子メールや人事情報、給与情報、トレーニングビデオにアクセスする際にも使われる。

 Delaney氏は、専用の業務用Androidアプリを社内で開発することを検討している最高情報責任者(CIO)へのアドバイスとして、計画が非常に重要だと述べている。

 「こうしたアプリの品質を十分な水準まで持って行き、現場に導入するためには、強い意志の力が必要になる」と同氏は言う。「わが社では問題が発生したこともあったが、十分に計画し、トレーニングし、テストしていれば、成功の可能性は高まる」

 Delaney氏は、ベータテストを十分に行うことが重要だと話す。同氏のチームは、信頼できる現場作業員と連携を取り、新しい機能をリリースする際には、事前にテストをしてもらっているという。

 「最初にアプリを作成したときには現場作業員たちにこき下ろされたが、それは素晴らしいことだった。そのおかげで、それらの問題をすべて修正できたからだ。2回目にアプリを作った時にもやはりこき下ろされた。ようやく思うようなものになったのは、4回目か5回目のときだ。最高のフィードバックは何かをリリースしても何も言われないことで、それはほぼ完璧な仕事だったことを意味している」と同氏は話す。

 Delaney氏のチームは、Javaベースのアプリをゼロから開発するためには1年かかると予想していたが、最終的なツールは6カ月で完成した。Innserveには、このアプリを毎日使っている現場作業員が400人以上おり、サポートは社内の専門の開発者1人で行っている。新機能は毎月のように追加されている。

 「反応はおおむね肯定的だった。しかしわれわれは、問題からも多くのことを学んだ」とDelaney氏は話す。「最終的なアプリケーションをリリースしたときの最高のフィードバックは、『使いやすい』というものだった。それは偶然ではなく、意図して目指したものだった。アプリを開発する際には、できるだけ使いやすくすることを目指し、作業員を意識することが大事だ。それには、使う人の痛みを感じる必要がある。わたしのチームは、現場の作業員たちと話すために多くの時間を費やした」

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