サイバー攻撃に対する身代金支払いは現実的な選択肢かもしれないが、IBM Securityの依頼によってコンサルティング企業Morning Consultが実施した調査によると、地方自治体はそういった選択をする際に納税者からの納得を得る必要があるという。
米国内のさまざまな規模の市町村の住民2200人を対象に実施されたこの調査では、60%近くの回答者が身代金の支払いに税金を投入するという地方自治体の判断に否定的な見方を示している。
地方自治体のなかには、復旧コストとサービス停止時間を考慮した結果、ランサムウェアがもたらす苦難から逃れるために、身代金の支払いに応じたところもある。しかし、身代金の支払いには、犯罪を増長させるという側面もある。このため、身代金の支払いに応じるという選択は議論を呼んでいるものの、Forrester Researchなどの調査会社は復旧コストとてんびんにかけたうえで、1つの選択肢として検討すべきだと主張している。
フロリダ州のレイク・シティやリビエラビーチは、身代金の支払いを現実的な選択肢だと判断した。また、ジョージア州ジャクソン郡も同様だ。米国のサイバーセキュリティ企業Recorded Futureは5月、米国の都市を標的にしたランサムウェア攻撃が増加していることを示した。これまでに被害に遭った地方自治体は、マサチューセッツ州リンやジョージア州カーターズビル、メリーランド州ボルチモアなどだ。
納税者はサイバー攻撃に対する身代金支払いを否定的に捉えている。この調査で得られた考察として、以下が挙げられる。
- 回答者の60%以上は、地方自治体が税金による身代金支払いではなく、コストがより高くついたとしても自力での復旧を選択することを望んでいる。
- 回答者の75%は、ランサムウェアと、それが及ぼす自らのデータへの影響について懸念している。
- 回答者の90%近くは、地方自治体のサイバーセキュリティ能力を強化するために連邦政府からの財政支援の増額を望んでいる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。