英語で書かれたプログラミング教本の読解や外国人エンジニアとの連携など、ITエンジニアが英語を使う場面は多い。さらに近年、オフショア開発の普及などから、英語ができるITエンジニアの需要が高まっている。仕事の幅を広げるために英語の勉強している、もしくはしたいと思っている人は少なくないが、仕事をしながら勉強を続けるのは非常に大変だろう。
この連載では、英語の習得を目指しているITエンジニアや、社内研修を実施・検討している企業の担当者に英語学習でのポイントを紹介する。社会人になってから英語の勉強を始めたITエンジニアや、法人向け英語学習プログラムを開発・販売する企業を取材した(全3回)。
第1回は、TISのサービス統括本部でSAPのシステム構築を担当している30代後半の女性社員Aさんの事例を紹介する。同社は近年、社員教育に力を入れており、英語のほか営業スキルやPM(プロジェクトマネージャー)スキルなど、さまざまな研修を用意している。
Aさんは2014年に英語の勉強を始め、現在はSAPが提供する英語の資料を読んだり、SAPのエンジニアと英語で会話をしたりしているという。9月に米国ラスベガスで開催されたSAPのイベント「SAP TechED」にも参加したとのことだ。
学生時代は、英語に対して「文法は嫌いだけど、話すことには興味がある。でもそこまで話せない」といった気持ちを抱いており、多少の苦手意識もあったという。では、どのようにして日々の業務に英語を活用し、海外出張を任されるようにまでなったのか。Aさんの英語習得の道のりを紹介する。
世界中の人とつながって仕事ができるようになったら
私は、Lynda Grattonの著書『ワークシフトー孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』を読んだことがきっかけで、英語の勉強を始めました。その本には将来、世界中の人とネットワークでつながってリモートで仕事ができるようになると書かれており、それが実現したら一層英語力が必要となると感じたのです。それまでITエンジニアと顧客企業をつなぐなど、コミュニケーションに重点を置いて働いてきたこともあり、日本語だけでなく英語でもやりとりができたらいいと思いました。
現在は、英会話教室「ロゼッタストーン・ラーニングセンター」でビジネス英語を習っています。授業形態は個人レッスンです。集団の授業も受けたことがあるのですが、他の生徒が話しているのを待っている時間がもったいないと感じ、マンツーマンにしました。
英会話教室では、会話に出てきた単語や例文を講師がメモしてくれたり、レッスン内容を録音したりしています。それらは授業終了後、専用ポータルにアップされるので復習がしやすいです。英会話教室に通い始めた頃は、会話の中で時制などが混乱してしまうことがありましたが、頭の中で整理しながら話すように心がけ、3年ほどであまりおかしくない文法で話せるようになりました。