本人確認が必要なさまざまな用途に使われるようになってきた顔認証技術が、いよいよ銀行のATMにも搭載されることになった。今後、顔認証を幅広い用途の本人確認の“本命”技術に育てるべきではないか。
セブン銀行とNECが顔認証技術搭載の新型ATMを開発
セブン銀行とNECは先頃、顔認証技術を搭載した新型ATMを開発し、今後順次、全国の店舗に導入すると発表した。発表会見には、セブン銀行の舟竹泰昭社長とNECの新野隆社長が登壇し、それぞれに新型ATMへの強い思いを語った(写真1)。
(写真1)新型ATMを前にしたセブン銀行の舟竹泰昭社長(右)とNECの新野隆社長
新型ATMの特徴や導入の背景については発表資料をご覧いただくとして、本稿では顔認証技術が銀行ATMの本人確認に適用されたことに注目したい。
新型ATMに搭載された顔認証技術は、NECの生体認証「Bio-IDiom」の中核技術であり、世界ナンバーワンの認証精度を有する顔認証AIエンジン「NeoFace」を活用し、迅速かつセキュアな本人確認の仕組みを提供するものである。
具体的には、事前にPCやスマートフォンから入力された個人情報に基づきQRコードを出力。このQRコードを新型ATMで読み取るとともに、ATMに搭載されたカメラやスキャナーを用いて、顔と本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を撮影することで、本人確認の一連の手続きが可能となる(写真2)。
(写真2)新型ATMに搭載された顔認証技術
これにより、金融機関やフィンテック事業者による本人確認手続きの業務が、従来の転送不要郵便や本人限定受取郵便による方法に比べて効率化する。また、利用者にとってもサービス提供までの期間が短縮され、利便性が向上するとしている。筆者はこの利用者メリットが大きいことに注目している。
ちなみに、NeoFaceの説明で「世界ナンバーワンの認証精度」と表記した根拠は、米国国立標準技術研究所(NIST)の顔認証技術ベンチマークテストで4回連続の第1位を獲得していることにある。