セブン銀行と関西電力、カウリスは3月6日、不正な銀行口座の開設を未然に防ぐことを目的に、金融と電力のデータを組み合わせる初の試みとして実証実験を行うと発表した。期間は3月18日から6月30日までで、関西電力管轄内の一部地域の約6000件の口座開設案件を対象にするという。
この取り組みは、経済産業省の「新技術等実証制度(規制のサンドボックス制度)」を活用するもの。実証実験では、セブン銀行がインターネットで受け付けた口座開設の申請について、カウリスが提供する金融向け不正検知サービス「Fraud Alert」に、関西電力が保有する電力設備情報の一部を活用し、顧客の申請内容が適正かどうかを判定する。
具体的には、セブン銀行がカウリスへ口座開設申請者の情報の一部を提供し、カウリスから関西電力に送信する。関西電力は、電力設備の情報から実証に必要な情報(Eデータ)とカウリスからの情報を照合、その結果をカウリスに送信する。カウリスは、関西電力のEデータとの照合結果を踏まえ、なりすましの可能性に関するリスク情報をセブン銀行に提供する。
実証実験のイメージ(出典:関西電力)
3社によれば、なりすましによる不正口座を通じたインターネットなどの非対面取引における被害は2017年時点で約236億円に上り、被害を未然に防ぐ新たな取り組みとして、口座開設申請における電力設備情報を利用することで実効性を検証する。また、電力会社とIT企業が連携する新たなビジネスモデルの可能性が広がるとしている。
各社は共同で2月に実証の実施計画を関係省庁に申請。3月6日付で経済産業省や個人情報保護委員会が計画を認定した。経済産業省は、実証目的の公益性や情報保護の適切な保護措置が講じられているとして、実施計画が電気事業法や個人情報保護法に違反しないと判断した。