人間の負担削減でOCRも活用--三井住友フィナンシャルのRPA活用の独自性

阿久津良和

2019-02-27 07:00

 ロボティックプロセスオートメーション(RPA)を活用していく上で紙の情報をどう取り込むのかが問われるようになっている。つまり、光学文字認識(OCR)とRPAをどう組み合わせるかに注目が集まりつつある。

 RPAツール「UiPath」を提供するUiPathが1月30日に開いたイベント「#UiPathForward Japan」に三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)と三井住友ファイナンス&リース(SMFL)が「RPA+OCR、紙とデジタルの親和性はいかに?」という講演に登壇して、それぞれの取り組みを語った。

OCR+RPAで読み取り、人間が確認した上でシステムに登録

 SMFGの中核である三井住友銀行(SMBC)グループは2017年度からスタートした中期経営計画で、2020年3月末までに500億円の経費削減計画に取り組んできた。

 その一環としてRPAを活用した業務削減3カ年計画として300万時間(1500人分)の創出を目標に掲げている。2018年9月末からは3カ年計画の折り返しとして、1年後の2019年9月末までにグループ全体の半分程度にあたる約160万時間(800人分)の作業自動化に取り組んでいる。

 SMFG 企画部 業務改革室 上席室長代理 山田泰宏氏は「強じんなコスト体質を磨き上げるため、余力の活用を当初から決定した。RPA化後の1500人を含めて4000人の人員余力捻出を計画している」と説明する。

 4000人の余力捻出を実現するためにSMFGは、営業力や企画力の強化、海外や多様化した需要に対応する戦力事業領域へリソースを追加投入する(1)「付加価値業務の拡大」、従業員の働きがいを生み出すための業務環境整備を指す(2)「働き方改革の推進」、規制や顧客への品質担保が必要となる金融業務に求められる業務量増加を現在の人員で吸収する(3)「人員配置の最適化」――の3つを目指す。

 山田氏は「RPAは実装がしっかりしていれば、効果を得られる。余力再投入をすでに実施。この活動を通じて生産性向上を実現できる」と目標達成に自信を見せた。

 そのSMFGが今取り組んでいるのが「共同CoE(センターオブエクセレンス)方式」。同社は金融機関の品質を担保しながら、堅牢性を持つRPAの導入プロジェクトと説明し、銀行の各部門に対して各コンサルティング企業によるITソリューションとRPAを組み合わせる仕組みだ。

 山田氏の説明によれば、2018年度からグループ内の開発企業でロボット内製化にも着手し、「グループ企業内で企画担当者ベースの情報交換、トライ&エラーなど知見を共有して、業務活用を推進」している。

 業務自動化の一例としてSMFGは「海外送金業務の自動化」を披露した。

 同社の説明によれば、送金依頼受け付けや内容確認、送金登録と一定の自動化は実現していたと説明。外部金融機関から受託する送金依頼書はファクスや画像データで送付されるため、データが届くと手が空いた人間が人海戦術さながらに入力していたという。

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