10月1日付で日本マイクロソフトの代表取締役 社長に就任した吉田仁志氏は2日、新経営体制に関する説明を行った。前社長の平野拓也氏が9月1日付で米Microsoft ワン コマーシャル パートナーグループ バイスプレジデント グローバル システムインテグレータービジネス担当(日本マイクロソフト特別顧問を兼務)に就任しており、吉田氏の着任まで1カ月の猶予があった。吉田氏は、「9月末(30日)まで日本ヒューレット・パッカード(HPE)に在籍しており、その前の発表ははばかれた」と説明した。
日本マイクロソフトの代表取締役社長に就任した吉田仁志氏(中央)と前任で米Microsoft ワン コマーシャル パートナーグループ バイスプレジデント グローバル システムインテグレータービジネス担当の平野拓也氏(左)、Microsoft CVP Asia PresidentのRalph Haupter氏
吉田氏の記者会見には、レポートラインとなるMicrosoft CVP Asia PresidentのRalph Haupter氏も同席した。吉田氏の起用についてHaupter氏は、前任の平野氏が強いリーダーシップでパートナーや顧客を良好な関係を構築し、優秀な人材を多く獲得したことや、同社にとって日本が重要な市場の1つとの認識を示した上で、「社内外の人材を(次期社長として)考えたが、日本の市場経験を踏まえて強いインパクトを残せるからだ」と説明した。吉田氏がHPE出身であることを踏まえ、「マイクロソフトのパートナー企業の出身でパートナーとの関係を強固にする」とも述べた。
また平野氏は、Microsoft本社がある米ワシントン州レドモンドが拠点となった。「Microsoftに情熱を傾けながら、日本の変革ビジョンを持った方に(社長職を)継いでもらいたい。吉田氏とはパートナーという立場で以前から付き合いがある。彼のバックグラウンドやビジネスに精通しているからこそ、今回の社長就任に至った」と述べた。さらに、「推進力と独自のスタイルで変革と日本社会に貢献してほしい」と吉田氏にエールを送った。
吉田氏は、日本を取り巻く数々の社会課題を踏まえ、「企業自身が変わらなければならない。もちろん日本マイクロソフトも含まれるが、日本社会を変えられるのは、日本マイクロソフトぐらいしかないと考えている」と語る。今回の社長就任については、「以前から共感を持っていた。強いマネージメントチームを持っており、各フロアーを回ると社員の目が輝いている」と感想を述べた。
既に同社は2020年度の経営方針を8月20日に公表しており、今年度の事業戦略に変更はないものの、吉田氏は「行き着くところは人。社員が元気な企業は強い。顧客課題に向き合い解決する姿勢も大事。社員には『楽しくやろう』と語っているが、社員のやる気と底力を引き出し、日本マイクロソフトを次のレベルに押し上げる」と抱負を述べた。平野体制を引き継ぐこととなったが、報道陣から「平野氏を超える実績を出せるか」と問われると、吉田氏は「まだまだ伸び代はある」と返答。Microsoftがグローバルで推進している社員や顧客、パートナーを対象にしたスキルトレーニングプログラムによる事業拡大の可能性を強く語った。