松岡功の一言もの申す

「日本企業はもっと大胆にDXを推進せよ」--米マイクロソフト沼本健CVPが直言

松岡功

2019-09-12 10:30

 ソフトウェアの開発・販売からクラウドサービス、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)支援へと事業転換を進めるMicrosoft。このほど来日した米国本社コーポレートバイスプレジデント(CVP)の沼本健氏に、その現状や課題、日本企業への要望を聞いた。

MicrosoftがAWSやGoogleと明らかに違う点とは?

 沼本氏は「Microsoftで最も偉くなった日本人」と言われ、Satya Nadella CEO(最高経営責任者)の側近として、クラウドとエンタープライズマーケティングを担当。この分野はまさしく事業転換の真っ直中にある領域だけに、同氏も相当な重責を担っているようだ。

 そんな同氏に取材する機会を得てさまざまな話を聞いた中から、印象深かった4つの問答について記しておきたい。(写真1)

筆者の取材に応じるMicrosoftコーポレートバイスプレジデント(CVP)の沼本健氏
筆者の取材に応じるMicrosoft コーポレートバイスプレジデント(CVP)の沼本健氏

 1つ目の質問は、「事業転換を進めていく中で、これまでと“景色”が変わってきたと感じるところはあるか」というものだ。「景色」という言葉を使ったのは、沼本氏がこの言葉にどのような切り口で答えるかも見てみたかったからだ。同氏は次のように答えた。

 「お客さまやパートナー企業との会話の中身が全く違ってきたことだ。以前の当社は、端的に言えばライセンス売り切りのビジネスモデルだったので、そのやりとりが済めば終わりという感じだった。しかし、それがクラウドを活用したDX支援になると、お客さまやパートナー企業が自らのビジネスに直結するパートナーとして当社を選んでいただけるようになり、プロジェクト全体をご支援するような形が多くなってきた」

 「景色の変化」に顧客やパートナー企業とのやりとりを挙げるとは心憎い。そう感じたことを伝えたところ、次のようにも話した。

 「クラウドサービスというビジネスモデルは、お客さまに使ってもらってなんぼ。お客さまのプロジェクトがうまく行かないと、当社のクラウドも課金できない。すなわち、当社の成功はお客さまの成功を通じてしかありえない。この立ち位置をNadellaがCEOに就いた5年前に明確に打ち出したことが、景色の変化につながったと考えている」

 2つ目の質問は、「Microsoftと同じくメガクラウドサービスを展開するAmazon Web Services(AWS)やGoogleといった競合と、ユーザー視点での明らかな違いは何か」というものだ。これまで繰り返されてきた質問だが、ここにきて機能やサービス内容には、大きな意味でそんなに差がなくなってきた。さて、沼本氏はどう答えるか。

 「最大の違いは、当社はお客さまのビジネスとぶつかったり、侵食するようなことは絶対にしないことだ。当社がEコマースなどの流通業に進出するようなことは決してない。これはお客さまとの信頼関係の基本にあるものだ。だからこそ、当社は多くのお客さまに信頼していただけていると確信している」

 「ユーザー視点で」の質問に、同氏はテクノロジーではなくビジネスの違いで答えた。

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