本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米Microsoftの沼本健 コーポレートバイスプレジデントと、トレンドマイクロの岡本勝之 セキュリティエバンジェリストの発言を紹介する。
「“インテリジェントクラウド”はマーケティングメッセージではない」 (米Microsoft 沼本健 コーポレートバイスプレジデント)
日本マイクロソフトが先ごろ、米Microsoftでクラウド&エンタープライズ事業のマーケティング責任者を務めるコーポレートバイスプレジデントの沼本氏が来日したのを機に、同社が現在、重点事業の1つとして注力している「インテリジェントクラウド」の戦略展開について記者説明会を開いた。

米Microsoftの沼本健 コーポレートバイスプレジデント
沼本氏の冒頭の発言は、その会見で、インテリジェントクラウドという言葉の意味について筆者が質問した際に答えたものである。同氏の会見内容については関連記事を参照いただくとして、ここではインテリジェントクラウドという言葉をめぐる筆者との質疑応答の内容にフォーカスして記しておきたい。
インテリジェントクラウドは、Microsoftが2016会計年度(2015年7月~2016年6月期)から3つのアンビション(野望)として掲げた重点事業の1つに使っている言葉である。文字通り「インテリジェントなクラウドを構築する」ことをコーポレートの重点方針として打ち出した格好だ。
図に示したのが、その具体的なクラウドサービス群である。沼本氏は同社のクラウドのアドバンテージとして、「革新的でオープンなマルチプラットフォーム」「ハイブリッドな世界でハイブリッドクラウドをけん引」「世界各地域における非常に強い存在感と活動」「全てのワークロードをワンストップで提供するエンタープライズレベルのサポート体制」「パートナーが拡張する完全なプラットフォーム」などを挙げた。
これらのアドバンテージを一層生かしていくのがインテリジェントクラウド戦略といえようが、筆者は当初、Microsoftが新たなクラウド形態を打ち出したと感じた。それというのも、クラウドには「パブリック」「プライベート」「ハイブリッド」「マネージド」などさまざまな形態があるからだ。インテリジェントクラウドと聞くと、そうした形態の「新種」と受け止めたのは筆者だけではないと思う。

マイクロソフトのクラウドサービス群