NECは10月2日、金融サービスにおける本人確認(KYC)業務をオンライン上で実施する本人確認サービス「Digital KYC」を強化すると発表した。
強化する機能は、顔認証技術を活用してQRコード決済時における高額取引のセキュリティ向上を実現する機能や、近距離無線通信技術NFC(Near Field Communication)搭載のiPhoneやAndroid端末を用いた改正犯収法に基づく本人確認書類のICチップ読取機能で、AI技術を取り入れた光学的文字認識(OCR)による券面情報の読取機能などを強化した本人確認ソフトウェアキット「Digital KYC SDK(Software Development Kit)」を2019年度中に提供開始する。
「Digital KYC SDK」は、生体認証「Bio-IDiom」の中核技術であり、NIST(米国国立標準技術研究所)の顔認証技術ベンチマークテストで4回連続の第1位評価を獲得した顔認証AIエンジン「NeoFace」を採用するとともに、生体情報を利用者の端末内のみで管理する国際標準規格「FIDO」に準拠している。
具体的な認証手順は、あらかじめ利用者がサービス利用開始時に本人の顔を登録することで、店舗などでの決済時にスマートフォンの内蔵カメラに顔を向けるだけで顔認証による本人確認が行われ、画面上に登録した本人の顔画像が表示される。QRコード決済を行う際、店員が利用者のスマートフォンに表示された本人の顔画像を確認した後に決済用のQRコードが表示されるため、厳格な本人確認によるQRコード決済が可能となる。
認証手順
また運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類に搭載されたICチップをスマートフォンで読み取り、2018年11月に改正された改正犯収法に基づく本人確認を行う機能を新たに追加した。最新のiOS 13に対応し、NFC搭載のiPhoneやAndroid端末などのスマートフォンを用いて、ICチップから利用者の氏名、住所、生年月日及び写真などの情報を読み取ることで、簡単で確実な本人確認が可能となる。
さらにArithmer社のAI技術を組み合わせたOCRを搭載し、本人確認書類の券面に記載されている本人特定事項(氏名、住所、生年月日など)の読取機能を新たに追加した。具体的には、スマートフォンを用いて本人確認書類の券面を撮影することで、端末内でリアルタイムかつセキュアにOCR処理を行い、利用者の入力を支援する。また、AI技術を用いて本人確認書類の特徴分析を行い、券面の表裏判定を行う機能も新たに追加し、金融サービス利用者がスマートフォンのカメラで本人確認書類を撮影することで、AIが手続きに必要な本人確認書類かどうかを自動で分析できるようにした。