Accentureの調査報告書によると、ITに関する決定が企業の明暗を別つことになる中、イノベーションをスケールさせることのできない企業は、今後5年間に多額の売上高を逃す可能性があるという。
Accentureは22カ国で、20業界の8300社を対象に調査を実施した。同社は技術導入、導入の深さ、企業文化としての導入準備体制を基に企業を評価した。そして上位10%をリーダー、下位25%をラガード(遅延者)と位置付けた。
端的に言うならば、Accentureがリーダーとして評価した企業は、エンタープライズ技術を個別の対処策ではなく、システムとして認識している。またリーダーは早くから導入し、再投資を行い、熟考した上で購入する傾向がある。
Accentureの報告書で注目すべき知見は以下の通り。
- 人工知能(AI)を導入しているリーダーは98%、ラガードは42%となっている。
- 90%のリーダーが、検証されていない、あるいはバイアスのある可能性のあるデータに依存せず、データの質を保証するための対策を取っている。その結果、リーダーの94%が、ビジネスの変化を促すうえで自社のデータを十分信頼できると考えている。ラガードの場合、この割合は64%だ。
- サーバーレスコンピューティングなどの高度なクラウドサービスを導入しているリーダーは95%、ラガードは30%となっている。
- IT戦略とビジネス戦略を一体化するために、部門横断的なチームと連携しているリーダーは91%、ラガードは41%だった。
- 2018年に、ラガードは年間売上高にして15%を逃しており、エンタープライズ技術の変化なくしては、2023年までに売上高成長を46%逸失する可能性がある。
Accentureは報告書で、次のように説明している。
「現在の企業幹部は、新技術に多大な投資を行っている。しかし、その価値をフル活用しているとは限らない。組織内で新技術を限定的に、もしくはサイロ的に導入し、これら技術がもたらすイノベーションを社内全体に展開する戦略がないからだ。イノベーションをスケールできていないため、技術に投資したメリットを完全に得られていない」
「これによりイノベーションの達成ギャップ、すなわち技術への投資が秘める可能性と、実現される価値の間に格差が生じている」
75%が、データ、インフラ、アプリケーションの間、人と機械の間、競合する組織間の境界をなくそうとしているという。境界のないシステムは、アイデアやパートナーシップを発展させることのできる新しい場を生み出すことにつながるとAccentureは説明している。
リーダーに力をもたらす技術は、ビッグデータやクラウド、IoT(モノのインターネット)から機械学習や人工知能まで、広範に及ぶ。しかし、リーダーとラガードの間ではその導入に開きがあることが分かる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。