GitHubの最高経営責任者(CEO)Nat Friedman氏は、従業員から米政府の移民・関税執行局(ICE)との契約を破棄すべきだと要求されたことに対して、契約を更新する決定を擁護する主張を公開している。
GitHubの従業員(「Hubber」とも呼ばれている)は米国時間10月9日、Friedman氏が社内向けに送信した、ICEとの契約を打ち切る予定はない理由などを説明するメールを受けて、Washington Postに「いかなるコストを払っても」契約を破棄すべきだと主張する公開書簡を掲載した。
最近では、大手IT企業の従業員が、会社に対してICEとの契約を見直すよう求める事例が相次いでいる。これらの運動は、Donald Trump政権の不法移民政策を実行に移している同機関に、技術や専門的なサービスを提供することに反対するもので、特に移民の親子を引き離す政策が批判を集めている。
ICEは2016年4月に、再販業者を通じて、GitHubのオンプレミス向け製品である「GitHub Enterprise Server」のライセンスを購入した。Friedman氏は、同社が10月9日に公開した電子メールの中で、ICEから得た売り上げは20万ドル(約2100万円)以下であり、これは財務的な問題ではないと述べている。
同氏はまた、GitHubはICEとプロフェッショナルサービスを提供する契約を結んでいるわけではなく、「このソフトウェアがどのように使われているかは分からない」と強調した。
Friedman氏は、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏が2018年にLinkedInに投稿した内容についても触れた。Nadella氏はこの中で、移民の親子を引き離すTrump政権の政策にがくぜんとしたと述べている。
ICEはGitHubが賛同していない移民政策を所管しているが、その一方で、人身売買と戦うといった社会にとって重要なサービスも担っているとFriedman氏は主張した。
「問題のオンプレミス向けGitHub Enterprise Serverのライセンスが具体的にどのプロジェクトに使われているかは把握していないが、同製品はわが社が賛同する政策と、賛同しない政策のどちらを支えるプロジェクトでも使用できる」と同氏は説明している。
「われわれは原則として、民主主義の中でわれわれの価値観を守るための正しい道は、企業として声を上げることであり、行政府の顧客がわれわれが反対することにサービスを使用する際に、そのサービスを停止することではないと考えている」(Friedman氏)
GitHubが公的な政策を変えるためには、「Microsoftの大規模なリソース」を利用し、政策当局に働きかけることが重要だと同社は考えている。
Friedman氏はICEとの契約に関して、Trump政権の「過酷な移民政策」に反対し、移民コミュニティーを支援する非営利団体に50万ドル(約5300万円)を寄付するとともに、より人道的な移民政策の支持に業務時間をささげたい従業員を支援すると表明した。
しかし、憤っている同社の従業員は、寄付では十分ではないと考えている。
従業員らは書簡の中で、「人の命を金銭で埋め合わせることはできない。ICEがわれわれの労働の成果を利用して与えた被害を、寄付で埋め合わせられるわけではない」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。