シャドーITの問題点があちこちで語られている。IT部門のリーダーにとって、シャドーITは悩みの種だ。特にセキュリティ、統制、データ形式に関する心配は尽きない。エンドユーザーはてんでにクラウドサービスに登録し、好きなデバイスを組み合わせて使っている。モバイルアプリの開発やアプリケーションのローカライズを外部の開発者に委託している者さえいる。
現場の混乱を整理してほしいと、エンドユーザーの側からIT部門に助けを求めてくれれば幸運だが、あちこちのオンラインサービスから毎月届く請求書の山は、最高財務責任者(CFO)にとっても頭痛の元になっている。
しかし、シャドーITは必ずしも悪いものではないかもしれない。シャドーITにはイノベーションを促進し、生産性を高める力があるからだ。
この結論を導き出したのは、米Entrust Datacardが1000人の米国のIT専門家を対象に実施した調査だ。事実、シャドーITソリューションの導入は組織の競争力向上につながり得ると回答したIT専門家は77%に上った。シャドーITを支援し、従業員が自分の使いたいツールを使用できるようにすることは、長い目で見れば組織の利益になると調査レポートは指摘する。シャドーITの広がりは、従業員がより良い働き方を求めていることの証左だとIT部門は認識している。シャドーITの影響として、セキュリティの順位はそれほど高くない。
自分の使いたい技術を使用している従業員の特徴(「非常にそう思う」を選んだ回答者の割合)
- 生産性が高まる 49%
- エンゲージメントが高まる 45%
- 勤続年数が延びる可能性が高い 40%
- ITセキュリティ要件を遵守する可能性が高い 40%
- セキュリティリスクを会社に持ち込む可能性が高い 25%
調査レポートによれば、「シャドーIT」インフラとは「ファイルホスティングサービスから個人用スマートフォンまで、企業ネットワーク上で利用され、マネジメントにとって深刻なセキュリティ上の死角を生み出す、組織が管理も承認もしていないソリューション」と定義される。回答者の4人に3人超(77%)は、シャドーITを放置した場合、2025年までに企業はより大きな問題に直面するという見方に同意している。一方、従業員がIT部門の承認を得ずに新技術を持ち込んだ場合の影響を、組織は依然として明確に説明できていないと回答したIT担当者も3分の1超(37%)に上った。
レポートによれば、問題は多くのIT部門が今なお、従業員が自分の使いたい技術を安全に利用するためのプロセスや手順を整備していないところにある。IT部門と経営層が協力して、しかるべきセキュリティ手順を適切な場所に整備すれば、シャドーITから多くの利益を引き出せる可能性があるとレポートは指摘する。