ガートナー ジャパンは10月31日、日本における2019年のテクノロジーのハイプサイクルを発表した。「モノのインターネット(IoT)」や「人工知能(AI)」「ブロックチェーン」といった技術が「幻滅期」に位置付けられる一方で、「第5世代移動通信システム(5G)」は「過度な期待のピーク期」に入ったと評価された。
日本におけるテクノロジーのハイプサイクル:2019年(出典:ガートナー ジャパン)
同社のハイプサイクルでは、市場に登場した直後に期待が急上昇する「黎明期」、期待に見合う成果を伴わないまま過熱気味にもてはやされる「過度な期待のピーク期」、熱狂が冷めて期待が一気に幻滅に変わる「幻滅期」、それを乗り越えて改めて市場への浸透が進む「啓蒙活動期」、成熟したテクノロジーとして市場に認知される「生産性の安定期」という5つの段階に分けられる。各技術はそれぞれの成熟度に従ってハイプサイクル上に位置付られる。
現在、デジタル変革(DX)というキーワードの下、何らかのデジタルの取り組みを進める日本企業が増えている。その一方で、デジタル施策をどこから始めるべきか分からないという声も挙がっているという。そこで、ガートナーでは、デジタルに関わる活動を推進する上では、それぞれのテクノロジやサービスの特徴、現状、今後の方向性などを理解し見極めることが不可避だと指摘する。
2019年版のハイプサイクルでは、2018年度版のキーワードを見直し、ITリーダーが今押さえておくべき代表的な40のキーワードを再選出したとしている。
ガートナーでマネージング バイスプレジデントを務める長嶋裕里香氏は、IoTやAI、ブロックチェーンといった幻滅期に入った技術について、「概念実証(PoC)などの取り組みを通し、単に期待を抱いていたところからリアリティーに直面するようになった困難の表れ」といい、「これは決して悪いことではなく、こういった時期だからこそ冷静に、基本に立ち返ってテクノロジーの真価や導入のタイミング、採用/導入領域を見極めるタイミングが訪れている」とコメントした。
過度な期待のピーク期にある5Gについては、「新たなテクノロジーの活用とその普及がもたらし得るさらなる破壊に対する期待が影響している」とした。