本連載では、筆者が「気になるIT(技術・製品・サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、三井住友カードが提供するデータ分析支援サービス「Custella(カステラ)」を取り上げる。
キャッシュレスデータの分析支援サービスを提供
三井住友カードは先頃、企業の経営戦略の立案や商品・サービスの企画開発などにおいてデータの活用を促進するデータ分析支援サービス「Custella(カステラ)」の提供を開始すると発表した。
Custellaでは、三井住友カードが保有するキャッシュレスデータを、企業や個人が特定できないよう統計化された顧客属性データ(新規、リピーター、インバウンドなど)や顧客行動ごとに集計し、統計化された購買実績データ(平日、休日、時間帯、エリア)など、さまざまな切り口で容易に集計し、データを「見える化」するツールを提供する。
また、それぞれの企業の課題やニーズにあわせ、キャッシュレスデータと企業が保有するさまざまなデータや天候データといった外部データとの掛け合わせ分析、人工知能(AI)などのテクノロジーを駆使した将来売上予測などの分析手法とサービスを個別に提供する。
さらに分析結果の具体的な活用策として、三井住友カードが持つさまざま送客ソリューションと連携し、それぞれの企業における顧客とのさらなるエンゲージメント醸成や企業における潜在的な顧客との新たな接点の構築に貢献するとしている。(図1)
図1:データ分析支援サービス「Custella」の概要(出典:三井住友カードの資料)
同社がこうしたサービスを手掛ける背景には、次のような動きがある。
近年、あらゆる産業においてデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進められ、さまざまなデータが各企業に収集、蓄積されるようになってきた中、データの活用は企業の競争力向上のみならず、個人の生活の質の向上や社会課題解決につながる点でも意義が大きいといわれている。
一方で、自社が保有するデータだけでは効果的な経営戦略の立案・ヒット商品の開発や有効な販売促進手法などが見いだせない企業やデータの活用方法自体に課題を抱えている企業も多数存在するものと推察される。
こうした課題に対し、同社では4月の組織改定で「データ戦略室」を新設し、保有する膨大なキャッシュレスデータを戦略的に活用すべく準備を進め、この度Custellaの提供を開始する運びとなった。