各SaaSとの連携にとどまらず、企業が内部のアプリケーションや外部に提供するサービスにビジネスインテリジェンス(BI)機能を組み込む「Embedded BI」が増加しつつある。
クラウド型BIツールを提供するLookerは7月9日、初の年次イベントとなる「JOIN Tokyo 2019」を開催。Lookerは以前から組込機能を備えつつ、シームレスなデータ探索を実現する「Embedded Analytics」を提唱してきたが、今回は外部に提供するサービスにLookerを実装したJDMCとピクシブの担当者2人が登壇した。
(左から)Looker カントリーマネージャー 小澤正治氏
JMDC 社長室 ソリューションアーキテクト 小森谷一生氏
ピクシブ データ駆動推進室 マネージャー 高橋孝太郎氏
医療統計データサービスを手掛けるJMDC(港区、従業員数178人)は、病院や健康保険組合などから得た医療費分析、疫学調査といったデータを匿名化し、製薬企業や医療機器開発メーカー、生命保険などに提供することで、消費開発やマーケティング分析を行っている。そのJMDCは製薬&生命保険向けシステムにLookerを採用。生命保険の担当者などが直接操作して、セルフサービスでデータを分析できるプラットフォームと説明する。
今回Embeded Analyticsを検討した理由としてJMDC 社長室 ソリューション アーキテクト 小森谷一生氏は「日本政府などの規制も多い」と語った。
従来の製薬&医療業界では大量のCSVデータを用いてデータベースを構築し、そこからデータ加工をはじめとした作業が発生する。さらにはSQL構文に関するスキルや解析ツールの理解といった解析要員の確保も課題だった。
他方で厚生労働省、総務省、経済産業の3省が定めた医療情報システムに関するガイドライン、いわゆる“3省3ガイドライン”の登場に伴い、同社はAmazon Web Services(AWS)のクラウド型データウェアハウス(DWH)「Amazon Redshif」にデータを一元化し。傷病分類など複雑なクエリを分かりやすく提供するため、BIツールとしてLookerを採用したという。