クリックテック・ジャパンは7月4日、データリテラシーの向上を図るための「Data Literacy Project(DLP)」の日本語版無償コースの提供を開始した。組織や個人によるデータの理解、分析、活用を推進するために開発した18の英語版無償コースから9コースを日本語化した。
米本社Qlik Technologiesは2018年3月にAccenture、Cognizant、Experian、PluraIsight、CIM、Data to the Peopleの6社とともにDLPの提供を開始した。データリテラシー(活用能力)についてQlikで小売り・製造・ハイテク担当ディレクターを務めるJeremy Sim氏は「データの読み込み、取り扱い、分析、議論ができる能力を指す」と定義付けつつ、“議論”能力に注目していると説明する。
Qlik Technologies 小売り・製造・ハイテク担当ディレクター Jeremy Sim氏
「往々にしてデータ分析は結果に注目が集まるものの、データ共有や議論を通じて他社とのコラボレーションなど、ビジネスの成長に生かすのが本当の価値」(Sim氏)とデータ活用のあるべき姿を提示した。
Qlik TechnologiesがIHS Markit、Wharton Schoolとともに2017年8月~2018年2月に行った共同調査「データリテラシー指数(Data Literacy Index)」によれば、意思決定者の92%が「従業員のデータリテラシーは重要だ」と考えている一方で、「自分の会社は従業員がデータリテラシーを高めるよう明らかに推奨している」と答えた人はわずか17%。データリテラシーが高いと回答した割合も、ビジネス意思決定者(24%)、上級幹部(32%)、16~24歳(21%)と全体的に低い数値が明らかになった。
データリテラシーを定義する4要素を1~10段階で数値化した“企業データリテラシー(Company Data Literacy:CDL)”スコアを見ると、日本は54.9ポイントと主要先進国で最下位(最も高いのは英国の81.3ポイントだった)。CDLスコアと企業業績の相関関係も、上位3分の1にランクインした企業は、それ以下の企業よりも3~5%高い企業価値(時価総額)を示し、平均的な組織規模(時価総額1070億ドル)を基盤とすると、CDLスコアが高い企業は3.2億~5.3億ドル(約350億~約580億円)高くなるという。
ビッグデータ時代にこのような結果になった理由をSim氏は「データ生成」「データの民主化」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の欠如が背景にあると推察する。「プロセス、テクノロジー、人がデータの価値を高めるが、人という要素は見逃されがちだ。われわれは人に焦点を当てる」(Sim氏)ことで、データリテラシーのスキルギャップを埋めようとしている。このような背景を鑑みて、英語版のみだったDLPの日本語版提供に至ったと説明した。