ZDNet Japanは2019年10月17日、「ZDNet Japan Summit 2019--『失われた20年』から解放」を開催。特別講演では、クレディセゾン 取締役 CTOを務める小野和俊氏が、事例を交えながら、ベンチャー企業の経営者から大手クレジット会社へと転身した同氏ならではのデジタルトランスフォーメーション(DX)成功術を紹介してくれた。
クレディセゾン 取締役 CTO(最高技術責任者) デジタルイノベーション事業部 テクノロジーセンターの小野和俊氏
小野氏が実践するデジタルトランスフォーメーション
まずは小野氏の経歴を紹介しよう。大学卒業後、サン・マイクロシステムズに入社し、米国シリコンバレーで仕事を経験した小野氏は、2000年にデータ連携ツール「DataSpider」で知られるアプレッソを創業した。2013年にアプレッソをセゾン情報システムズに売却、セゾン情報システムズの常務取締役 CTOを務め、2019年に現職に就任した。
小野氏がかかわった仕事の中には、表彰を受けたものが少なくない。例えばセゾン情報システムズ時代には、米Amazon Web Services(AWS)の年次カンファレンス「AWS re:Invent 2015」において、メインフレームやUNIXシステムのためのデータ連携ソフトウェア「HULFT」をクラウド環境に対応させた実績が評価され、SAS InstituteやSAPと並んで「Think Big」を受賞した。2018年の「Alexa Skill Award」では、スマートスピーカー「Amazon Echo/Alexa」を活用した目の不自由なマッサージ師向けの顧客管理システム「クイックちゃん」が法人部門優勝と特別賞をダブル受賞した。
さらに最近は、クレディセゾンが提供する「セゾンのお月玉」というサービスの開発をリードした。同サービスは、セゾンカード/UCカードの利用者に向けて利用金額で500円(税込み)ごとに現金1万円が当たる抽選券1枚(1日当たり最大3枚)をプレゼントするというもの。9月1日にサービスをスタートして話題を呼んだ。
これら3つの取り組みは、小野氏が体現してきたDXの好例といえるだろう。既存のパッケージソフトウェアをクラウド時代に対応させ、スマートスピーカーという「スマートフォンの次のプラットフォーム」を活用した新しいユーザー体験を提供した。「セゾンのお月玉」では、大規模な基幹業務システムと連携する新しいサービスを企画開始からリリースまで2カ月で開発している。顧客が体験したことのない新しい仕組みを次々に作り上げてきた。