米国政府は、特定のテクノロジーが競合国に渡ることを抑止するための輸出規制を開始する。これにより、米企業が地理空間画像からの物体認識を自動化する人工知能(AI)ソフトウェアを輸出することが難しくなった。
Reutersが最初に報じたこの輸出規制は、重要なテクノロジーが中国のような競合国の手に渡らないようにするための米国政府の取り組みの一環だ。
今回の規制は米国時間1月6日に発効し、カナダ以外の国への輸出が対象となる。地理空間画像分析を自動化するためのAIソフトウェアを輸出する米国企業は、当該製品の輸出時に許可を申請するよう求められるようになった。
規制の対象となる品目には、「地理空間画像と点群の分析を自動化するための、深層畳み込みニューラルネットワーク(深層CNN)を訓練するために特別に設計された地理空間画像ソフトウェア」が含まれている。点群とは、ある座標系で定義された座標データの集合を意味している。
今回の規制は、地理空間画像からGUIを用いて自動車や家屋といった物体を識別できるようにするソフトウェアや、ピクセルのゆがみを補正して認識対象となる物体のポジティブサンプルとネガティブサンプルを抽出できるようにするソフトウェア、それらのサンプルから認識対象となる物体を検出するための深層CNNを訓練するソフトウェアに特に狙いを定めている。
米商務省産業安全保障局(BIS)が発表したこの規制は、2018年の輸出管理改革法(ECRA)に基づいている。これは、輸出規則(EAR)に対する修正条項となっている。
商務省などは、「軍事活動や諜報活動において米国に多大な優位性をもたらす可能性がある品目、あるいは対外政策上で管理の必要性が認められるという理由で、輸出管理を実施する根拠のある」品目を洗い出している。
ECRAは、二面性を持つ新たな「基盤的」技術、すなわち民生目的と軍事目的の双方で利用可能なテクノロジーに制限を加える目的を有しており、これらテクノロジーを中国が入手することについての懸念が高まるなかで採択されたものだ。
Reutersによると、商務省はECRAに基づいたかたちで今回の新たな規制を確定するようになるという。
共和党と民主党の議員らは、慎重な扱いを要するテクノロジーの輸出制限に向けた商務省のプロセスの加速を求めている。しかしBISは、こういった制限に対する意見を一般から聴取する機会を設けたいと述べている。
BISは「政府はこの規制を一刻も早く実施することが米国国家の安全保障につながると確信している一方、新たな品目の統制に対して利害関係のある国民が意見を述べる機会を設けたいと考えているため、暫定的な決定項目として発行している」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。