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デジタル変革がデータ基盤構築を後押し:アルテリックス社長

藤本和彦 (編集部)

2020-01-23 07:00

 データ分析基盤を提供するAlteryxは、2019年4月に日本法人を立ち上げ、日本国内での事業展開を本格化させている。米国本社で社長兼最高売上責任者(CRO)を務めるScott Jones氏に、グローバル戦略と最近の動向について聞いた。

 同氏は主にセールス部門とサービス部門を率いており、同氏が現職に就いてからは、「前年同期と比べて45%以上の成長を8四半期連続で達成」しているという。グローバルでの急成長をけん引しているのは、デジタル変革(DX)というトレンドの潮流だ。データをDXの中心に据える企業の多くが、データ分析基盤の構築を急ピッチで進めている。これに伴い、大規模な案件や新規顧客の数が増加しているという。

 もう1つの流れは、最高データ責任者(CDO)の台頭になる。Jones氏によると、米国の大手企業の2~3割には既にCDOが設置され、最高情報責任者(CIO)や最高経営責任者(CEO)に直接報告する立場にあるという。組織全体における情報の管理と活用に対する責任を担っており、ビジネスでのデータ活用を目的にした基盤整備の一環として、データの下準備やモデリング、レポーティング、可視化、ワークフロー、機械学習・予測分析といった一連の処理を単一のプラットフォームに集約させようとしているという。

 さらに、オートメーション(自動化)に対するニーズも高まっている。データを使ったビジネスが重要性を増しており、さまざまな業務システムを流れるデータを連携させ、それをもとにビジネスプロセスを再構築することで、業務ワークフローやサプライチェーン管理の自動化・効率化を可能にする。

 Alteryxはデータ分析基盤「Alteryx Platform」を主力製品とし、世界70カ国に5500社以上の顧客を持つ。セルフサービス型のツールであることが特徴の1つで、データの発見や準備、分析、予測といった領域を単一のプラットフォームで網羅する。直近では、「データのアクセシビリティーやツールの使い勝手を強化している」(Jones氏)と言い、プログラミングやデータサイエンスの知識がない事業部門や管理部門のユーザーでも、データを加工したり、機械学習のモデルを構築したりできるようにしている。

 日本法人のアルテリックス・ジャパンは、2019年4月の立ち上げからまもなく1年になる。現在は15人体制で既存顧客のサポートや新規顧客の開拓などを図っている。統括代表の吉村良氏によると、顧客企業には自動車や電機、製薬などといった製造業が多い。グローバル展開を進める大手企業のリスク管理基盤として導入されるケースもあるという。

 Jones氏は日本市場について「製造業が強く、この領域において人工知能や機械学習の活用が進んでいくだろう」と期待を寄せる。グローバルで見ると、3年ほど前まではデータプレパレーションやデータブレンディングなどの目的でAlteryxのプラットフォームが導入されることが多かったが、最近では予測分析などの高度な分析を組み合わせた事例が増えているという。

 国内においても、将来的な拡張も視野に入れつつ、足場を固めるためのデータ分析基盤として導入する企業が多いと吉村氏は話す。日本法人の販売戦略としては、導入事例の公開やハンズオンセミナーの開催など、現場担当者の日常の課題をどのように解決できるか、他社がどういうふうにツールを活用しているかなどをコミュニティーなどを通じて訴求していくとする。

アルテリックス・ジャパン 統括代表の吉村良氏(左)とAlteryx 社長兼最高売上責任者(CRO)のScott Jones氏
アルテリックス・ジャパン 統括代表の吉村良氏(左)とAlteryx 社長兼最高売上責任者(CRO)のScott Jones氏

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