PwCは、大規模なデジタルトランスフォーメーションの取り組みを進めており、これには従業員をスキルアップさせて、技術やアナリティクスに関する技能を身につけさせることも含まれている。取り組みの成果はすでに上がり始めている。
PwCは、ニューヨーク市で開催したデモンストレーションで、同社が提供している監査業務やその他のサービスに、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)や人工知能(AI)、アナリティクスなどのツールをどう取り込んでいるかを説明した。
PwCの米国担当アシュアランステクノロジーリーダーSherri Guidone氏は、「目指しているのは、監査人の手間を大きく減らして、人間しかできない仕事をできるようにすることと、イノベーションを大衆化することだ」と話す。「わが社のスタッフは、ユニークな問題を解決することができる。わが社では、わずか数年間でテクノロジーに関する理解が変わってきた」
デジタルトランスフォーメーションの取り組みは世界中で行われており、PwCの取り組みから得られる教訓について学ぶことには価値がある。ここでは、4つの教訓を紹介する。
従業員のスキルアップには十分なメリットがある
PwCは、ビジネスを発展させるために、ツール、トレーニング、技術に対して30億ドル(約3300億円)もの投資を行っている。PwCの米国担当最高製品責任者Suneet Dua氏によれば、その多くが、スタッフ5万5000人のスキルアップに投じられており、デジタル技術の活用に関する知見や、データの理解、視覚化、アナリティクスといったスキルを身につけさせているという。
それによって、次のようなメリットが生まれている。
- 人材定着率の改善。米国およびメキシコ担当アシュアランス責任者Wes Bricker氏は、このデジタルアクセラレータープログラムを経験した従業員は、定着率が高くなっていると話す。「私たちはスタッフに対して、ビジネスやテクノロジーの進歩に合わせて従業員にトレーニングを施し、スキルセットを最新のものに保てるようにすると約束している」とBricker氏は述べている。
- 生産性の向上。同社が2020年の春と夏に展開する予定の監査ツールのデモを見れば、RPAや人工知能(AI)、機械学習などの技術を利用することで時間が節約できることは明らかだ。PwCのサービスでは、数字の処理が自動化され、人間は分析作業や、専門家としての懐疑的立場からの検討、品質の向上などに力を注ぐことができる。
- 業績の改善。Bricker氏は、自動化を進めたからといって、必ずしも雇用が減らされるわけではないと強調する。同氏は「わが社では生産性が向上したことで、できることが増えた」と述べ、「私たちが持っているスキルセットは非常に競争力が高いため、守備範囲を広げ、人材をより活用できるようになった」と続けた。PwCはサービスを拡大しているほか、製品の提供にも手を広げている。従業員の競争力が高まれば、サービスの競争力も高まり、成長にも期待できる。