ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」

第12回:デジタル化で再考するアプリケーションとアーキテクチャーの本質論

取材・構成=翁長潤

2020-02-13 06:00

 本連載は、元ソニーの最高情報責任者(CIO)で現在はガートナー ジャパンのエグゼクティブ プログラム グループ バイスプレジデント エグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏が、ガートナーに在籍するアナリストとの対談を通じて日本企業のITの現状と将来への展望を解き明かしていく。

 今回のテーマは、「未来のアプリケーション」だ。新しいテクノロジーを活用して、新しいビジネスモデルをベースに革新的なサービスを構築したり、既存のビジネスの変革を図ったりする取り組みが活発化している。それを実現するアプリケーションには、これまでとは異なる特性が求められる。次世代アプリケーション構築に必要な要件とは何か――アプリケーション領域における提言を行っている飯島公彦氏にそのヒントを尋ねた。

“クエスチョンマーク”を“ビックリマーク”に変えたい

長谷島:まずはガートナーのアナリストになろうとしたきっかけを教えてください。

飯島:入社以前は20年ほどITエンジニアをしていました。アプリケーションの開発や標準化、技術調査、運用などの全般的な仕事に携わり、いろいろな悩みを抱える顧客とやりとりをする中で、「ITで解決するためにはどうすればいいのか?」と、頭の中に“クエスチョンマーク”が浮かぶことがたくさんありました。人と話したり、新しいテクノロジーに触れたりしたりする中、突然それが“ビックリマーク”に変わるという瞬間が訪れることがあり、これはすごく感動的な体験だと。そうした経験を生かして人に役に立つ仕事がしたいとガートナーに入りました。

長谷島:動機として人に役に立つ仕事がしたくてアナリストの道を選んだという方、多いですよね。次に、担当領域についてお話いただけますか。

飯島:中核となるのが、アプリケーション基盤の分野です。アプリケーションの実行基盤とシステム間をつなぐ、いわゆる「インテグレーション基盤」という2つに大きく分けられます。加えて、アプリケーションアーキテクチャーも担当しています。最近では、ビジネスモデルやビジネスプロセスとの整合性についても調査しています。

 近年は、複数の企業が共創するためのエコシステムの形成が重要になっています。それを迅速に実現するITの仕組みがAPIでして、APIを束ねる「API管理」なども担当領域です。

ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 アプリケーション・アーキテクチャ&インフラストラクチャ担当シニアディレクター アナリストの飯島公彦氏。ガートナー入社以前は、大手製造業のシステム子会社でメインフレームを含む分散環境におけるアプリケーションおよびインフラストラクチャに関する企画、設計、運用管理および標準化・技術調査に関する業務に従事する
ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 アプリケーション・アーキテクチャ&インフラストラクチャ担当シニアディレクター アナリストの飯島公彦氏。ガートナー入社以前は、大手製造業のシステム子会社でメインフレームを含む分散環境におけるアプリケーションおよびインフラストラクチャに関する企画、設計、運用管理および標準化・技術調査に関する業務に従事する

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