情報処理推進機構(IPA)は2月25日、2019年7~12月期の情報システムの障害状況を発表した。2019年通年では報道された情報システムの障害が122件に上り、2007年以降で過去最多だった。
情報システムの障害発生件数の推移(出典:情報処理推進機構)
2019年7~12月期に報道された情報システムの障害は60件あり、これとは別に同年10月に実施された消費税増税に伴うシステムの障害も29件発生した。月平均の発生件数は14.8件で「これまでにない高い水準」(IPA)といい、増税に伴うシステム障害を除いても同平均10.0件に上った。通年では同10.2件となっている。
増税に伴う障害は、前回2014年の消費税率8%への変更時に7件発生し、主に交通機関の券売機や料金収受機での障害だった。2019年もこれらの障害が発生したが、加えて今回は店舗レジでの障害も多く発生した。これについてIPAは、軽減税率やポイント還元など複雑な制度の導入に起因する影響の可能性を指摘する。
また、クラウドサービスを含む「共同利用型サービス」でのシステム障害も11件発生した。IPAは、共同利用型サービスで事故が発生した場合の社会的影響の拡大や深刻化が進むとし、サービス提供者側にはシステムの高信頼化や可用性向上へのさらなる取り組みが求められると解説する。
利用者側にも、事故に伴う損失の評価やそれを回避するためのコストとのトレードオフの検討し、ほかの共同利用型サービスやオンプレミスシステムでのバックアップを用意するのかなど、リスク管理や事業継続の観点から考える必要があるとしている。