日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、「企業IT動向調査2020」からIT人材動向などに関する結果(速報値)を発表した。デジタル化関連人材が大きく不足し、CIO(最高情報責任者)の存在が魅力あるIT部門のイメージに不可欠であることも分かった。
IT要員の増減傾向を示すディフュージョンインデックス(DI:「増加」の回答割合から「減少」の回答割合を差し引いた数値)では、IT部門が17.0ポイントになり、5年連続で増加した。また、事業部門のIT要員は前回調査の約2倍となる14.1ポイントに急増、前回から調査を始めたデジタル専門部は51.4ポイントになり、突出して多い状況にある。
IT 要員数のDI 値の過去5 年の推移(出典:JUAS)
また、人材のタイプ別で見たIT部門要員の充足状況は、全体的に不足感が高く、特に「既存の高度化」を実施するレベルの人材不足感が強いことが分かった。一方、「創造・革新」レベルの人材の不足感は他のレベルに比べて低かった。
商品・サービスのデジタル化の実施レベル別 人材タイプ別 IT 部門要員の人数の充足状況:現状(出典:JUAS)
プロセスのデジタル化の実施レベル別 人材タイプ別 IT 部門の人数の充足状況:現状(出典:JUAS)
人材採用の状況は、IT人材では新卒・中途とも約8割の回答企業が採用できているものの、デジタル人材では採用できていない企業が新卒で52.7%、中途でも42.9%に上った。
IT部門が魅力ある部門として認識されているかどうかについては、専任のCIOがいる企業では「非常にそう思う」が17.9%と高く、「どちらかといえばそう思う」の32.1%と合わせると半数に上る。CIOがいない企業では、8割以上がIT部門に魅力がないと回答しており、CIOの存在が魅力あるIT部門に不可欠であることが分かった。
CIOの設置状況別 IT 部門が魅力ある部門として認識されているか(出典:JUAS)
「企業IT動向調査2020」の詳しい分析結果は4月に公表される。